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就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

「この雰囲気カッコイイ! ここで働きたい!」が、内定の決め手!?

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第9回】 2011年2月23日
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「ウォール街で働きたいんです!」の絶叫で手にした内定

 学生「ウォール街で働きたいんです!今頂いたこの名刺の向こうにはウォール街が見えます!私はそこで働きたいんです!

 面接官「(しばらくの沈黙の後)あなたは、いつかはこの業界で働くことになるでしょうね

 それは、15年前に就活をしていた私が外資系証券会社の最終面接でほぼ絶叫状態で口にした台詞。そんなこと、それまで一度も面接で言ったことはなかったし、そういう想いみたいなものは言っちゃいけないものだとも思っていた。当時の私は、子どもじみていると思われたくなかったのかもしれない。

 学生時代にニューヨークを訪問した際、ウォール街で「くー! この雰囲気カッコイイ! ここで働きたい!」と思い、意気揚々として「Wall Street」というサインの前で写真を撮ったことがある。しかし、就活中はそんなことはほぼ忘れていた。憧れは志望理由にもならないと思い、完全に封印していたわけだ。それが、「もう最後の面接だ、後悔はしたくない」と思った矢先に、上の台詞が口を衝いて出てしまった。

 このエピソードは、研究室を訪ねてきた学生に、就活では熱い想いも重要だということを伝えるために持ち出したものである。実際、自分が企業で面接を受ける側に回ってもそう思わされることがよくあった。能力、志望理由、ストーリーなどは当然大事だが、最後の最後は熱い想いだと思う。

 「そうなんだ、憧れを持っていていいんだ~。それも大切なんですね」
と言って学生はほっとしたような表情を浮かべた。きっと「就活はこうでなくてはいけない」という思いでがんじがらめになってしまっていたのだろう。学生が続けた。

 「でも、先生みたいに特定の業界に対して熱い想いを持てる人って、そう多くはないと思うんですけど…」学生の顔が再び曇る。

 「そういう憧れの業界は、パッと今すぐには思いつかないです」

 「それはそうかも。でも、私の場合、業界に憧れていたわけではなくて、正確には場所に憧れたんだよね。実際、ウォール街に行く直前に訪問した国連本部もマンハッタンにあって、そこでもシビれたしね」

 「“こくれん”ですか…?」

 「うん、仕事内容は私もよく分かっていなかったけど、国連の現役社員が中をツアーで案内してくれるんだよ。それがすっごいカッコイイ女性でさ。『どうやったら国連で働けるんですか?』って聞くと、『まず3ヶ国語が流暢に話せて~』という条件が出てきて、こりゃダメだと思ってやめたんだけど」

 「へえ~」

 「あとは、状況に憧れるってのもあると思う。友達で人事系のコンサルタントをやっている人は、『毎日バンバンいろんなところに出張するような生活を送りたいと思っていたけど、今はそれが実現できて嬉しい』と言っていたんだよ。この人の場合は、特定の業界や職業に憧れていたわけではなく、状況に対して憧れていたわけだよね」

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
保田氏ブログ

 


就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌

北海道のとあるのんびりとした国立大学。就職率は悪くない。ここのビジネススクールで教鞭を執る著者のもとに、毎日やってくる大学3年生の学生たち。就活、進路、恋愛、人生……。不安と悩みを抱えながらも、どこかのどかで牧歌的。そんな彼らは、本当にいわゆる「ゆとり」なのか? リアルな現場の一コマを毎週リポートする。※連載は全9回

「就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌」

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