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焦点:メルケル独首相、トラック突入事件後もなお盤石か

2016年12月22日

[ベルリン 20日 ロイター] - 英国のキャメロン氏やイタリアのレンツィ氏らが次々と首相辞任に追い込まれるなど不安定化する欧州の政治状況の中で、ドイツのメルケル首相の地位は、しっかりと安定したものだと思われてきた。その状況におおむね変化はないものの、ベルリン中心部のクリスマス市場で起きたトラック突入事件は、そのメルケル氏でさえ揺るぎない存在ではないことを想起させた。

19日夜発生したトラック突入事件では12人が死亡。容疑者としてパキスタン出身の男性が逮捕されたが、独連邦検察当局はその後、容疑を裏付ける十分な証拠がないとして釈放した。

ただドイツ国内でのこうした事件と昨年の難民流入との関連がみつかれば、それがどんなものであれ、政敵がメルケル氏を攻撃する材料となるのは確実だ。

ユーラシア・グループのムジタバ・ラーマン氏は「トラック突入事件は、メルケル氏の、難民に寛容で、開かれた国境を掲げた政策に対する批判を再燃させる。来年の国政選挙が近づいていく中で、同氏の弱点を示すことになる」と指摘する。

メルケル氏も事件が今後の難民受け入れに及ぼすかもしれない影響を懸念しているようだ。事件後の最初のコメントでは、ドイツ国民に恐怖に屈しず、自由で開かれた国であり続けることを呼びかける一方、「もし、今回の事件の犯人がドイツに逃れてきた難民だと確認されたなら、ドイツ国民にとって耐え難いことになる」と言及している。

反移民を掲げる右派政党「ドイツのための選択肢(AfD)」のペトリー党首は「こうした事件が起きる環境というのはここ1年半、不注意に、そして制度として海外から持ち込まれたものだ」と指摘。

反欧州連合(EU)を掲げ、ブレグジット(英国のEU離脱)を後押しした英独立党(UKIP)のファラージュ党首は「ベルリンから恐ろしいニュースが飛び込んできた。しかし、驚きはない。こうした事件こそがメルケルの業績なのだ」と述べるなど、海外からも批判の声が上がっている。

事件前に実施され、20日公表された世論調査では、メルケル氏率いる与党キリスト教民主同盟(CDU)などの保守体制支持が36%と、第2党の社会民主党(SPD)を14ポイントリード。AfDに対しては25ポイントのリードを保っている。

これだけの差があるものの、メルケル氏は来年の選挙は「これまでとは比べものにならないほど厳しい」ものになるとの見方を示している。

CDUの姉妹政党、キリスト教社会同盟(CSU)のゼーホーファー党首も20日、事件を受け「移民政策や安全保障政策を見直すことは、犠牲となった方々やその家族、そしてすべてのドイツ国民に対するわれわれの義務だ」と述べ、メルケル氏に政策の見直しを促した。

ただ、メルケル氏の足元のCDU内では20日、一部で不満の声こそ聞かれたものの、90%近い支持で党首に再選しただけに反旗を翻す動きは考えにくい。中道政党は有権者の75%の支持を集め、CDUの他政党に対するリードも大きい。今回のような事件が続発するのでなければ、メルケル氏が現在の座から転落することはないのかもしれない。

(Noah Barkin 記者)

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