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アングル:ユーロ圏、超長期国債の低コスト発行機会が幕切れへ

2016年12月23日

[ロンドン 21日 ロイター] - ユーロ圏各国政府にとって、50年ないしそれ以上の期間の国債を低コストで発行できる千載一遇の機会は失われつつあるのかもしれない。

最近数カ月の長期債利回り急上昇により、今年のように50年や70年、100年といった年限の国債を大規模に発行するのはもう難しくなる可能性がある、というのが政府当局者や銀行関係者、投資家の一致した見方だ。

国債売りは、11月の米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利して以降加速している。

こうした中で、来年の資金調達計画で新たな超長期債発行の可能性を模索しているベルギーでさえ、雲行きが怪しくなってきた。債務管理庁のルクレック長官は「投資家が当面利益を得られる見通しが立たない以上、来年は超長期で発行に動くのは一段と困難になるだろう」と述べた。

今年はベルギーやスペイン、イタリア、フランスが相次いで数十億ユーロ規模の50年債を販売。オーストリアは10月に70年債を発行し、さらにベルギーやアイルランドにならって私募形式で最長100年までの期間で発行できるための法的整備を開始した。

ただ年金基金やヘッジファンドなど、これらの国債を購入した投資家にとって結果は必ずしも良好ではない。

ロイターのデータによると、ベルギーとスペインの国債はまだそれぞれ8%と10%のリターンを確保しているものの、フランスの国債のリターンは1%程度、オーストリアとイタリアの国債のリターンは約10%のマイナスに沈んでいる。

トランプ氏の勝利で米国の成長率が高まり、インフレがもたらされるとの観測が広がったことが国債価格の下落(利回り上昇)につながった。その上、欧州中央銀行(ECB)が今月の理事会で来年4月からの資産買い入れ規模縮小を決めると、値下がりが一段と進んだ。

ドイツの30年債の指標利回りはECB理事会後に11カ月ぶりの高水準を記録し、米大統領選前に比べて0.5%近く上がっている。

それでも超長期国債の投資リターンの一部がまだプラス圏で推移していることから、来年早々にはこうした年限で新たな起債が実施されてもおかしくないとの声も聞かれる。

INGのストラテジスト、マーティン・バンブリエット氏は「起債したいなら来年前半にすべきだ。後半になればECBの買い入れ規模のさらなる縮小観測が再燃し、発行の機会はほとんどなくなってしまうだろう」と話した。

一方で借り入れコストの面では、利回り上昇のために超長期で調達する合理性は急速に薄らぐかもしれない。既に一部のアナリストは、50年以上での起債に疑問を呈し、例えば30年で発行して償還した方がコストは抑えられると提言する。

<需要減退>

過去1年間を見ると、幅広い投資家が50年以上の超長期債に資金を振り向けてきた。超低金利下でも、こうした国債は従来の年限より高いリターンを提供してくれるとの期待があったからだ。

債務とのマッチング目的で本来需要がある年金基金や保険会社だけでなく、資産運用会社、ヘッジファンドなども買い手になった。

しかし複数の銀行関係者はロイターに対して、利回りが全般的に上昇するとともに50年以上の超長期債への需要は弱まっていく可能性があると語った。そのうちの1人は「金利上昇で一部の実需投資家にとってはこれらの国債を買う必要性は低下している。かつて彼らは利回りを求めてより長い年限に向かっていた。今は超長期債の発行環境はもっと厳しいはずだ」と指摘した。

JPモルガン・アセットマネジメントはここ2年で初めて超長期債のポジション圧縮に動いた。債券部門のニック・ガートサイド最高投資責任者は「利回りが上昇し、超長期債が特にその影響を受けやすいという環境にあるとすれば、われわれは投資に慎重になる」と説明した。

資産運用世界最大手のブラックロックは、超長期債購入を否定はしていないものの、グローバル債券責任者スコット・ティエル氏は、超長期債の歴史的に見れば絶対的に低い利回り水準と年限の長さが二重の痛手となりかねない点に警戒感を示した。

(John Geddie、Abhinav Ramnarayan記者)

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