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焦点:中国国有企業改革の裏側、福祉縮小で住民に募る不安

2016年12月26日

David Stanway

[平頂山市(中国) 18日 ロイター] - 中国は国有企業に対し、数十年来続く「ゆりかごから墓場まで」方式の福祉制度を縮小するよう命じた。中国ではこうした制度を持つ国有企業が「不況に強い」職業とされてきた。

今回の命令は、膨大な債務を抱える肥大化した国有企業にかかる財務上の重圧を軽減する計画の一環として出されたものだが、この改革がもたらす社会的・財政的な難題を各都市が切り抜けていくことを考えると、「言うは易く行うは難し」平煤神馬集団という結果になる可能性が高い。

中国中央部、煤塵(ばいじん)に覆われた平頂山市の中心にはがある。河南省にある平頂山市の経済・社会、そしてひどく汚染されたこの街の大気を支配している国有石炭コングロマリットである。

平煤神馬集団は、石炭の他、化学・建設事業に携わっている。だが同グループはそれ以外にも驚くほど多くの責任を担っている。

同グループは41の病院、18の学校を運営しており、年金を提供し、家賃補助付きの社宅、水道・暖房・電力を供給している。経営幹部を対象として、ゴルフコース完備の老人ホームまで運営している。

平頂山市の住民にとってはなじみ深いこれら施設の運命も、今や予想しにくくなっている。このようなインフラが閉鎖されないとすれば改修が必要となり、国務院の研究者は、そのコストを全国で1兆元(約16兆9000億円)以上になると試算している。

すでに平頂山市の一部の病院では、石炭生産の削減後、治療する鉱山労働者の数が減少している。

すでに廃鉱となった平煤神馬の第7炭鉱近くにある、通院患者向けの小さな診療所で働く医師(Liという姓だけ教えてくれた)は、「よりよいサービスの提供に向けて努力するだけだ」と話す。

中央政府は国有企業に対し、「社会的機能」の整理縮小に関して、2020年までという猶予を与えている。だが平頂山市の場合は、期限はもっと差し迫っている。同市を含む河南省では、試験的なプロジェクトのもとで2017年までにこのプロセスを完了したいと考えているからだ。そのため同省は、中央政府だけではなく、同じ課題に直面している他の省からの注目も集めている。

国内のもっと豊かな地域に立地する国有企業は、数年前に社会福祉サービスへの拠出から撤退しているが、より貧しい地域、特に平頂山市のように企業城下町の場合は、その国有企業があまりにも中心的な役割を果たしているせいで、改革が難航している。

国有資産監督管理委員会の肖亜慶主任は、同委員会のウェブサイト上で、「社会的機能を切り離し、歴史的に引きずってきた問題を解決することは、国有企業が市場実体になっていくための大切な条件である」と述べている。

世界金融危機後に中央政府が推進した信用供与拡大によって、中国の国有企業の累積債務総額は9月末時点で85兆3000億元となっている。経営幹部は、コスト削減を支援するよう繰り返し中央政府に求めている。

中央政府の管轄下にある中国の国有企業は、約8000の地域サービス提供部門を運営している。これを削減する取り組みは、その企業の余剰人員対策・配置転換コストを押し上げることにもなる。景気の減速によってすでに打撃を受けている地域において、当局が社会不安を抑制しようと努力している場合はなおさらだ。

これらの国有企業は、学校、年金、その他の「社会的機能」のために年間8500億元を費やしている。3月に全国人民代表大会の代議員が語ったところでは、地方政府が経営する企業ではさらに支出が多くなっているという。

河南省では、住民への暖房、水道、電力の提供だけでも、国有企業の負担は年間8億元になる。

<依存関係の解消>

経済の減速とコモディティー価格の下落によって最も大きな打撃を被っているのが国有の製材企業であり、近年では、コストの高い「社会的機能」が手痛い損失に拍車を掛けている。

国有企業による手厚い社会福祉制度が始まったのは1951年。国有企業の多くは政府の一部局としてスタートし、ある地域の社会インフラ全体に責任を持つミニ国家として振る舞うことも多かった。

最初の亀裂が生じたのは1986年、急速に近代化を進める中国が新たな年金制度を導入し、国有企業における終身雇用制度を廃止したときである。1995年までには、抜本的な国有企業改革に備えて、「社会的機能」をシステマティックに譲渡していくことが求められた。この改革では、破綻した企業数千社が閉鎖され、結果として2000万人以上が一時解雇された。

より貧しい省では、こうした転換に苦しんでいる。辺境にある鉱業中心の地域では、国有企業が政治的権威の唯一の源となっているだけに、なおさらである。

平頂山市と河南省の当局にコメントを求めたが、いずれからも回答は得られなかった。

平煤神馬をはじめとする河南省内の国有企業に送付された文書のなかで、規制当局者は、経済的に自立できないのであれば、医療・教育施設の一部は閉鎖されるだろうと警告している。

国務院の研究者らは、今後の課題を指摘するなかで、中国北東部に位置する黒竜江省で経営難に陥っている竜煤控股集団の場合、社会的機能を地方当局に移転するためのコストが43億元にも達するとしている。これに対して、年間の運営コストは3億元である。

ある試算によれば、河北省の石炭生産企業、開滦集団が暖房・水道・電力施設を譲渡するためには、譲渡前に適切な水準まで改善するため、約46億元が必要になるという。

<住民の不安>

平頂山市の教師Zhang Kaiさんは、すでに変化を味わっている。彼女が働く幼稚園の経営権は地元の炭鉱から学校の職員に移った

Zhangさんは、今や幼稚園は営利事業として自立しなければならない、と話す。

 「どの炭鉱にもそれぞれの幼稚園があり、状況はどこも異なっている」と彼女は言う。「次に何が起きるか、実は私たちにも分かっていない」

平煤神馬の第7炭鉱は、最盛期には8000人の労働者を雇用していた。現在、ここに集まる炭鉱労働者は約500人で、月給はわずか410元(約7000円)まで減ってしまった。会社側では、他の国有炭鉱に彼らの転職先がないか探している。その間、彼らはカード遊びで時間を潰している。

そのうちの1人、Chenさんと名乗る51歳の炭鉱労働者は、「仕事があるかどうか誰よりも心配しているのは私たちだ」と言う。

炭鉱の守衛所に座ったChenさんは、シャツをまくり上げ、腎臓手術の傷跡を見せる。治療費は会社の保険から支払われたが、これからは保険に頼ることもできないだろうと彼は考えている。

 「会社の業績が悪くなれば、健康保険を負担しなくなる。ここ数年、健康保険による給付はない」と彼は言う。「この炭鉱が閉鎖されてから、以前私たちが受けていた福祉の多くが、あっさり消えてしまった」

(翻訳:エァクレーレン)

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