あえて大晦日に書店で新刊発売、出版業界の若手が企画キャンペーンのポスターとPOPを手にする(左から)伊藤さん、網屋さん、影近さん

 今年は出版社でいきいきと働く女性の姿を描いた「重版出来!」や「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」のテレビドラマが話題となったが、出版業界の現役若手社員たちも負けてはいない。新商品が店頭に並ばない年末年始の書店を盛り上げようと、各出版社や出版取次会社(出版社と書店をつなぐ流通業者)の30~40代の若手が、所属する企業の垣根を越えたキャンペーンを企画した。

 実は出版業界にとって年末年始とは、完全に“オフ”の期間だった。週刊誌は合併号を発行するのが通例だし、制作部門はもちろん出版流通や出版社の営業も休みに入るため、他の小売業のように新年向けの品揃えをするという発想が元々なかったのである。

 しかし、ショッピングセンターや百貨店などが年末年始も営業し、どの店舗も初売りや福袋などで新年早々から集客するのが当たり前になっている時代である。そうした商業施設に入っている書店をはじめ、年末年始に営業する書店も多いが、仮に店を開けていたとしても、取り扱う商品は何ら新年らしさがないというのが現状だった。また、お年玉を持った子どもや家族連れが来店しても、訴求できる商品もなかった。

老若男女が楽しめる新規商品840万冊
書店でおみくじやカレーの配布も

 だが、この年末年始は違う。出版業界を挙げて業界初のキャンペーンに取り組んでいるのだ。

 まずは、例年ではありえなかった、12月31日の新規商品投入である。書籍、雑誌、コミックの新春特別商品192点840万冊が、12月31日に全国の書店(沖縄、離島は除く)の店頭に並ぶ。