今年はベッキーや、「育休議員」こと宮崎謙介元衆院議員など数多くの有名人の不倫スキャンダルがあった。しかし、歴史上に名を残した性豪たちのエピソードに比べれば、時代がまったく違うといえばそれまでだが、かわいいものだと感じてしまう。そこで歴史上の偉人の性問題に詳しい文芸評論家の末國善己氏に偉人たちの性豪エピソードを聞いた。(構成/福田晃広【清談社】)

和歌の名手は
伝説のプレイボーイだった

 今年の春に公開された映画『ちはやふる』は、競技カルタを題材にした漫画が原作。この題名にもなっている「ちはやふる」とは、平安時代の歌人・在原業平が詠んだ歌の一句だ。業平は歌だけではなく、その道でもかなりの達人だったらしい。

英雄色を好むは真理!?日本の偉人「性豪伝説」有名人の不倫スキャンダルがかすんでしまうほど、歴史上の人物たちの性の逸話はぶっ飛んでいる。現代なら間違いなくアウトだ

「在原業平は『伊勢物語』の注釈書『和歌知顕集』に生涯で3733人の女性と関係を持ったと書かれています。井原西鶴『好色一代男』の主人公・世之介は業平よりも9人多い3742人の女性と関係を持っていて、西鶴は稀代のプレイボーイ・業平よりもモテる人物像を描きたかったことが伺えますね」(末國氏)

 経験人数が3733人とは、現代でいえばAV男優のような職業じゃないとあり得ない数字。この経験人数が伝説のプレイボーイたる所以なのか。

「プレイボーイということでいえば、業平には膨大な経験人数に加えて、こういう逸話もあります。伊勢神宮に仕える斎宮は当然処女であることが条件なんですが、その子と致しちゃったことがありまして、大スキャンダルになったようですね。実際のところ本当なのかはわかりませんが、業平のキャラクター的に大方、本当だったんではないかと信じられています」(同前)

 『古今和歌集』に30首収録されている和歌の名手は膨大な経験人数を誇り、タブーをも恐れず、性に貪欲な伝説のプレイボーイだった。