日本は国土の7割が山林で、瀬戸内海や長崎県、南西諸島を中心に小さな有人島も多いことから、無人ドローン宅配に対しては過疎地での物流コスト削減という観点からの期待が他国以上に大きくなっている。

 山奥の集落までくねくね道を登るのに比べて、ドローンなら直線距離に近い経路で飛行できるし、橋のかかっていない島に届ける場合にも、海上を飛ぶことで距離と時間の短縮が期待できるからだ。ちなみに実証実験が行われたのは、幕張新都心を除けば、いずれも島嶼や山間部であり、こうした期待に合致している。

 宅配便の荷物1つあたりのトラックの走行距離は、都市部では約0.2kmであるのに対して過疎地域では約1.2kmと都市部の6倍にもなっている(国交省資料)。地域の営業支店からの最終的な配送の一部を無人ドローンに委ねられれば、ドライバーの走行距離が短縮され、配送コストと時間の削減にも結びつけられる。

今治市島嶼部の
物流事情を見てみると…

 実証実験対象地の中で、とりわけ興味深いのが今治市だ。なぜなら市域に大小様々な有人島があり、島嶼部での物流事情改善という観点で、島ごとの事情の違いを比較しやすいからだ。

 実証実験は昨年10月26日に、エネルギア・コミュニケーションズ社が楽天の協力のもとで実施主体となり、瀬戸内海に浮かぶ大三島の上浦町盛地区で行われた。住民がスマートフォンからミニトマトなどの野菜を注文すると、楽天のドローンが注文データを受信して飛び立ち、直線距離で約600mの着陸地点まで、海上を迂回して約1.7kmを5分ほどで飛行して、重さ約500gの品物を無事に送り届けた。

 実験に使われたのは、楽天が「そら楽」というゴルフ場内のデリバリーサービスで使用しているドローン。ゴルフ場内という用途から完全自律飛行が可能なのが大きな特徴で、法規制さえ撤廃されれば、すぐにでも無人宅配用途に転用できそうな機体だ。

今治市の周辺図 
©Google Mapを元に作成
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 実験が行われた大三島は、地図にもあるように、今治市と広島県尾道市を結ぶ「しまなみ海道」(西瀬戸自動車道)の通る島だ。だが実験会場となった盛地区は島内でもかなり北に位置し、広島県竹原市の忠海港からのフェリーが発着する港もあることから、むしろ広島県との結びつきのほうが強そうにも思える。そこで、今治市企画課に取材をして、市内島嶼部の物流事情について話を聞いた。