前回までの議論に引き続き、一般会計の今後についての検討を行なうこととする。

 まず、マニフェスト関連経費について見てみよう。

 2009年衆院選において民主党が掲げたマニフェスト(政権公約)に関連する経費は、【図表1】に示すように、一般会計国費で合計3.6兆円ある。これは、前回述べた2009年度の国家公務員総人件費と比べれば、その68%にも上る膨大な額だ。

金利上昇は国債費にどのような影響をもたらすか

 しかも、これらは単なる「ばらまき」というだけでなく、逆効果さえありうる施策である。

 例えば、高速道路無料化は、温暖化ガス削減には逆行する。また、高速道路の混雑化を招くし、鉄道やフェリーなどの代替的交通機関の採算悪化を招くという問題もある。農家の戸別所得補償は、生産コストを補償する仕組みなので、農業生産の大規模化、効率化には逆行する。これは、農業の生産性を低下させる政策だ。実際、この影響で、農地の集約化が減速してきたようである。

 子ども手当は、従来の児童手当の所得制限を撤廃し、支給額を増加したものだ。しかし、これだけ巨額の支出を行なっているにもかかわらず、何を目的にしているのかがはっきりしない。出生率の向上に寄与するという証拠もないし、所得再分配の点で正当化できるわけでもない。また、総需要の喚起策としての効果も、あるかどうか大いに疑問だ。

 何が無駄遣いといって、マニフェスト関連経費ほどの無駄遣いは考えられない。したがって、歳出の削減を目指すのであれば、まずこれらを削減することが必要だ。

 消費税の税率1%で約2.5兆円の収入があるが、そのうち、地方消費税分と地方交付税を除いて国の一般会計が使える分は、1.4兆円程度である。したがって、マニフェスト関連経費は、消費税率2.6%程度にあたる。消費税の税率引き上げを提案するのであれば、これだけ巨額の経費を、効果が判然としない用途にあて続けることは、到底許されないだろう。

 民主党は、9月をめどにマニフェスト全体を見直すこととしている。ただし、党内抗争の道具とされている感があり、政策論争にはなっていないのが現状だ。

国債費の分析

 つぎに、国債費の分析を行なう。