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アングル:規制技術サービス企業、トランプ時代でも前途洋々

2016年12月28日

[ニューヨーク 22日 ロイター] - トランプ次期米大統領は金融などの規制を緩和する方針を示している。金融危機後の規制強化の波に乗り、銀行や投資家に規制対応の技術を提供している「レッグテック(規制技術)」企業には一見逆風だが、これらの企業は前途を心配していない。

自信の背後にあるのは、規制が撤廃ではなく変更され、世界の規制体系がばらばらになれば、金融機関は新たな状況に対応するためレッグテック企業のサービスが必要になる、との確信だ。

金融機関の法令順守に必要なデータ分析の自動化サービスを提供する新興企業、アラクニスのデービッド・バクストン最高経営責任者(CEO)は「変化それ自体がレッグテックの採用を後押しする。状況がコロコロ変われば、比較的小回りのきくレッグテック企業にチャンスが生まれる」と語る。

アラクニスは2010年にロンドンで創業した。同社のように、クラウドコンピューティングやビッグデータ処理といった最新技術を駆使し、マネーロンダリング(資金洗浄)など幅広い法令の順守を助ける企業は増えており、その大半が非公開企業だ。

トランプ次期政権が金融規制を緩めるとの見方にもかかわらず、アラクニスは米国での事業拡大計画を続行し、マンハッタンで従来より大きな事務所スペースを借りた。

ベンチャー投資の世界では、レッグテック企業が新たな人気業種となっている。調査会社CBインサイツによると、ベンチャーキャピタルによるレッグテック新興企業への投資は2012年以来、世界中で23億ドルに上った。

調査会社セレントによると、金融機関は法令順守関連技術への投資を加速させており、投資額は2015年の501億ドルから19年には720億ドルに増える見通しだ。

<規制緩和も追い風>

トランプ次期大統領は2010年に成立した米金融規制改革法(ドッド=フランク法)を解体したいと述べている。

法律事務所シモンズ・アンド・シモンズのパートナー、アンガス・マクリーン氏は「またしても環境が変わるなら、それが規制緩和の方向であったとしても、銀行は新体制を理解し、それに伴ってシステム等を更新するのに多くの助けを必要とするだろう」と言う。

しかも金融機関は常にコスト削減を望んでおり、最も労働集約的な法令順守の仕事を、人工知能(AI)やクラウドの利用によって効率化できるなら、大いに魅力的だ。

<規制裁定>

トランプ次期大統領が金融規制の緩和に成功すれば、世界的な金融規制の分断化が加速するだろう。

欧州連合(EU)内では、一部の東欧諸国や小国が国際的な銀行ルールに反対している。一方、英国が欧州連合(EU)離脱を選んだことで、グローバル行はロンドンに留まれなくなる可能性がある。

こうして規制体制が入り乱れれば、レッグテック企業は個別の状況に合わせたサービスを提供する機会が膨らむはずだ。

タッブ・グループのフィンテック調査責任者、テリー・ロシュ氏は、グローバル行は規制の地域差をうまく利用する「規制裁定」に力を入れるようになり、この面でもレッグテック企業の技術が必要になると説明した。

加えて、規制当局や政策当局も規制をより効率的に執行する方法を探し求めている。インサイダー取引やマネーロンダリングの阻止といった根本的な規制は今後も残るはずだ。

取引監視ソフトウエアを提供するビヘイボックス(ロンドン)などの企業は、自らの前途は洋々だと感じている。同社のアーキン・アディロブCEOは「当社は米国事業を拡大し続けている。米国の方が事業機会や市場が大きいとみており、事実、私は米国に移って永住するつもりだ」と話した。

(Anna Irrera記者)

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