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焦点:「トランプラリー」は続くか、17年米株市場のリスク

2017年1月4日

[ニューヨーク/サンフランシスコ 30日 ロイター] - 米大統領選挙以降、上昇基調の米株市場だが、2017年はトランプ次期大統領の政策への懸念再燃、ドル高、サイバー攻撃や貿易戦争といった要因に「トランプラリー」が幕切れする可能性があると投資家はみる。

投資家が挙げた、米株の一段の上昇を阻み得るリスク要因は以下の通り。

<トランプ政策が掛け声倒れ>

多くのストラテジストが、最大の懸念に挙げているのが、共和党が支配する議会が財政赤字の拡大を嫌がり、トランプ次期大統領の景気支援策を骨抜きにしたり、先延ばしすることだ。

トランプ氏が規制緩和や減税、インフラ投資拡大を打ち出したことで、銀行、ヘルスケア、建設関連株が大幅に上昇した。

ヌビーン・アセット・マネジメントの株チーフストラテジスト、ボブ・ドール氏は、大胆と受け止められたトランプ氏の政策変更が骨抜きされると予想している。

<貿易保護主義>

16年12月22日、環太平洋連携協定(TPP)離脱や北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の方針を表明していたトランプ氏が、輸入品に10%もの関税を課すことを検討していると伝わり、小売株が下落した。その前日、トランプ氏は、新設する国家通商会議のトップに対中強硬派の経済学者ピーター・ナバロ氏を指名した。

中国やメキシコなどからの輸入品に関税がかけられれば、米消費者の負担が大きくなる。

<ドル高で企業業績悪化>

米大統領選以降、大幅に上昇したドルがさらに上昇すれば、世界展開している米企業の売上高が目減りする可能性がある。

米企業利益は1年にわたる縮小局面から脱却したところだ。利益の拡大ペースが上がらなければ、株価は割高になってしまう。トムソン・ロイターのデータによると、S&P総合500種指数<.SPX>は現在、予想PER(株価収益率)が18倍近くで、長期平均の15倍前後を上回っている。

<FRBの金融引き締め加速>

16年12月、1年ぶりの利上げに踏み切った米連邦公開市場委員会(FOMC)は、17年の利上げが3回との想定を示し、米株市場は急落した。景気拡大は株価を押し上げるが、金利上昇は消費や投資を冷やす要因となる。

サイノバス・トラストのポートフォリオマネジャー、ダニエル・モーガン氏は、米連邦準備理事会(FRB)が引き締めにやや前のめりになり、利上げのスピードが合理的といえないほど速まってしまうことがリスクと指摘している。

<欧州でのポピュリズムのうねり>

春にオランダ、フランスで選挙を予定する欧州では、欧州の反主流派候補が勢い付いている。すでに英国の離脱決定に衝撃を受けている欧州連合(EU)にさらなる打撃となる可能性がある。

コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのブラッド・マックミラン最高投資責任者(CIO)は「ポピュリスト(大衆迎合主義者)パワーについては、まだ圧倒的に認識が不足している」と語る。

<宴の終わり>

非常に強気なムードできた米株市場は、その分、厳しい調整局面が待ち構えているともいえる。

シティグループの株式戦略チームが開発したパニック/ユーフォリアモデルによると、株価はまだユーフォリア(陶酔)の域にはないが、米大統領選以降、かなり上昇している。同モデルの構成要素となっている、米個人投資家協会の週間センチメント調査では、16年最終調査で投資家の強気度が2015年1月以来の高水準だった。

<過度なレバレッジ>

株投資のための借金は過去最高に近い水準になっている。こうした資金は、相場の潮目と兆しが出ると、往々にして真っ先に市場から逃げ出していく。

ニューヨーク証券取引所のデータによると、11月末時点の証拠金債務は5004億ドル。2月の底から15%近く増え、2015年4月に記録した過去最高の5072億ドルまであとわずかに迫った。

証拠金債務が記録的水準となった過去3回(2000年3月、07年7月、15年4月)の例をみると、その1年後に株価は下落している。

<人民元の下落>

中国政府が膨張する債務と不動産バブルへの対応に追われる中、人民元はほぼ8年ぶり低水準となっている。トランプ次期大統領はすでに、中国製品に重い関税をかけると警告しているが、中国を為替操作国に認定する可能性もある。

 「政治、経済、金融が悪い形に絡み合う可能性がある」とコモンウェルス・ファイナンシャルのマックミラン氏は語る。

<サイバー攻撃>

ロシアの米大統領選干渉説、ヤフー<YHOO.O>の大規模な情報流出などは、大規模なサイバー攻撃が将来、経済に打撃を与える可能性があるとの懸念を高めた。

 「実際のブローカーとのトレードは、もう5年やっていない」と言うロングボウ・アセット・マネジメントのジェイク・ドラーハイド最高経営責任者(CEO)は「サイバー・セキュリティ、われわれの生活やビジネスへの攻撃は、留意すべきことだ」と指摘した。

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