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アナグマの死骸写真が大炎上、害獣駆除と動物愛護の狭間

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第191回】 2017年1月7日
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 昨年末、大晦日につく除夜の鐘に“うるさい”とクレームがつき、鐘つきをやめた寺があると知って私はたいへん驚いた。それも一山や二山ではないらしいと知ってもっと驚いた。

 〈最近では騒音問題だけでなく住職の高齢化や焚き火したり甘酒をふるまったりするボランティアが減少し中止する寺院も出てきているという〉(J-castテレビウォッチ)

 “お坊さん便”が登場して利用者が増えたとき、公益財団法人全日本仏教会は“お布施の金額表示には一貫して反対”“お布施はサービスではない”等々の批判コメントを出してお坊さん便を牽制したが、除夜の鐘を取りやめる寺院については何ら策を講じていないのかもしれない。坊主は丸儲けできないことには興味がないのかも。

 除夜の鐘は鎌倉期に中国から伝わったものらしい。当初は住職がひとりで一〇八回ついていたが、江戸時代後期から一般の参拝者も加わるようになったそうだ。八〇〇年以上続く伝統は日本人のDNAにしっかり染みついているのだ。鐘をつかなくても、鐘の音を聞くことで私たちは煩悩を取り払い、清らかな気持ちで新年を迎えるわけだが、では、いったい、どんな人が除夜の鐘をうるさいと思うのだろうか。

 日本の伝統文化に無神経か批判的な人たち……、と書いてしまうとバイアスがかかってしまうからやめるが、静岡県のある寺院では、苦慮の末、大晦日の正午から除夜の鐘(?)をつくことにしているそうだ。除夜の鐘にはうるさいとクレームをつけた人も、“除午の鐘”には苦情を申し立てなかったらしい。

 〈(前略)時間の前倒しによる利点もあった。昼間は足下もよく見え、つまづきにくい。子どもからお年寄りまで幅広い世代が参加しやすく、地域住民同士の交流につながる(後略)〉

 朝日新聞の北川サイラ記者は、除午の鐘のほうが“地域住民同士の交流につながる”とし、それを“御利益”と書いた。そうかあ? なんだか、朝日が書くと日本の文化の崩壊を喜んでいるようにしか感じられないのは私だけなのだろうか。

 それはさておき、除夜の鐘。ツイッターが大炎上するばかりか、通学する高校にまで三〇〇〇件を超える苦情の電話がかかってきたというあの高校生は、どんな思いで除夜の鐘を聞いたのか――?

 〈おいん家の玄関におったけん、後ろからバットでフルスイングしてぶち殺してやった〉

 こうした書き込みとともに、佐賀県在住の高校生は、自らの手で撲殺したアナグマの写真をSNSにアップした。アナグマの死骸が口から血を流していたこともあってか、この高校生のツイッターは大炎上し、ツイッターアカウントに高校がわかる記述があり、通っている高校にも苦情のメールや電話が殺到した。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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