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日銀、物価見通し小幅上方修正検討へ 円安反映・賃上げ後押しも

2017年1月6日

[東京 6日 ロイター] - 日銀は30━31日に開く次回の金融政策決定会合で、物価見通しの小幅上方修正を検討する見通し。世界経済の好転を背景に、トランプ相場による急激な円安や原油価格の安定の影響を織り込む。物価上昇のテンポがこれまでよりも加速するイメージを示すことで、期待インフレ率の上昇に不可欠な企業の賃上げにつなげたい思惑もあるとみられる。複数の関係筋が明らかにした。

日銀は年8回開く金融政策決定会合のうち、4回の会合で先行きの経済成長率と物価上昇率(消費者物価指数・除く生鮮、コアCPI)の見通しを示す「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表している。

前回公表した昨年11月1日時点の物価見通しは、2017年度が前年比1.5%上昇、18年度が同1.7%上昇となっている。

その時の為替レートはドル/円<JPY=EBS>が103円前後。物価試算の前提である原油価格もドバイ産で1バレル50ドルから先行き50ドル台後半に緩やかに上昇するとみていた。

しかし、直近のドル/円は115─118円台で推移しており、わずか2カ月で約10%を超える急激な円安が進んだ。

日銀は為替レートが輸入物価を引き上げるだけでなく、輸出拡大を通じた国内需給の改善にも影響与えることで、じわりと物価を押し上げるとみている。

昨年1月と11月の展望リポートでは、10%の円安が物価を2四半期でプラス0.15ポイント、4四半期で0.3ポイント、6四半期で0.45ポイント、8四半期で0.4強ポイント押し上げるとの試算を公表している。

原油価格も足元のドバイ産は54ドル前後で推移しており、日銀の想定を上振れている。

世界経済の好転を背景に輸出・生産も持ち直しているほか、政府による経済対策もあり、物価の基調に影響する需給ギャップも改善を続けると見込んでいる。

ただ、昨年11月時点でも、一定の円安進行は織り込んでおり、今回の上方修正は小幅にとどまる公算が大きい。日銀の従来の物価見通しは市場のコンセンサス(ESPフォーキャスト、17年度0.73%、18年度1.01%)と比べ、かなり強気に傾いている。

トランプ米次期政権の経済政策運営は不透明で、保護主義が日本の輸出・生産にマイナスの影響を与える可能性も、現時点では否定できない。

それにもかかわらず日銀が物価見通しの引き上げ検討に入ろうとしているのは、物価の上昇ピッチが加速する軌道を示すことで、企業に前向きな賃上げを促す狙いもある。

足元のコアCPIは昨年11月実績でマイナス0.4%にとどまっている。

大企業は春闘で直近の物価を参照するため、円安基調が継続すると、物価は上昇するが賃上げが追いつかず、消費が抑制されて結果的にデフレ圧力が高まってしまうリスクもある。

このため春闘で決まる賃金やパートタイムなどでの賃金が、人手不足を背景に上がれば、前向きの循環メカニズムが本格的に回り出すと期待している。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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