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フォードのメキシコ工場建設撤回、地元経済へのリスク浮き彫りに

2017年1月9日

[サンルイスポトシ(メキシコ) 6日 ロイター] - 米自動車大手フォード・モーター<F.N>が、メキシコ中部サンルイスポトシ州に16億ドルを投じて工場を建設する計画を撤回したことで、トランプ次期米大統領が掲げる政策がメキシコ経済に及ぼすリスクが浮き彫りになった。

また、顧客基盤の拡大を期待していた関連する部品供給業者の間でも驚きが広がっている。

米ゴム化合物メーカー、プリファード・コンパウンディングの現地法人幹部は、多くの自動車部品メーカーがサンルイスポトシ州のフォード新工場の操業を見込み、事業拡大に乗り出していたと指摘。同州産業の自動車業界への依存度は「優に70%」に達しているという。

同幹部は「(フォードの撤回の決定は)地元経済に大きな影響を及ぼすだろう」と語った。同幹部によると、地元経済に及ぼす影響は今後5年間で数十億ドルに達する可能性すらある。地元当局者はフォードの決定が及ぼす経済的な影響をなお分析していると明らかにした。

トランプ氏は通商関係を刷新し、米国に雇用を取り戻すと宣言しており、メキシコ経済が被る打撃は今回が始まりにすぎないかもしれない。

フォードは今回の撤退理由について、同州でも製造を予定していた小型車に対する需要が北米で減退していることを挙げた。ただ、トランプ氏は昨年11月の大統領当選の数カ月前から、メキシコ事業に関してフォードを激しく批判していた。

トランプ氏は5日には、トヨタ自動車<7203.T>のメキシコ新工場から米国に輸出される車両を対象に「国境税」を課すと警告。トランプ次期政権のメキシコ産業に対する全面攻撃を巡る懸念が高まっている。

フォードの建設撤回を受け、同社の工場建設予定場所は既に、経済的な約束を失った不毛の地と化している。油圧ホース請負業者のフェルナンド・ロサレスさん(28)は「今や墓地のようだ」と話した。

フォードの撤回決定は、より高級で大型の車製造には賃金が高めの米国労働者を割り当て、労働コスト削減を目的に小型車をメキシコで製造するという、米国の自動車大手の取り組みに歯止めをかけるものだ。

フォード新工場予定地から遠くない場所では、ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>など世界の自動車関連の大手企業が巨額を投じ、工場設置を進めている。GMもフォードと同様、メキシコへの投資でトランプ氏から厳しく批判されている。

独自動車大手BMW<BMWG.DE>は10億ドル規模の工場を建設しているほか、フォードの予定地から2、3マイル離れた場所では、米グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー<GT.O>が5億5000万ドル規模のタイヤ製造工場を建てている。

一方、不動産サービス大手コリアーズ・インターナショナルのセルジオ・レセンデス氏によると、ほとんどが外資系の40─50社が、フォードの新工場への供給を目的に、サンルイスポトシに進出する用意があった。12─14社程度の供給業者が土地を購入したり、開発業者との契約を交わしたりしていたという。

サンルイスポトシ州のグスタボ・プエンテ経済相は「供給業者は(進出作業)進捗(しんちょく)の程度により、損失を被るだろう。既に多額の投資を行っている」と指摘した。

フォード工場の予定場所ではショックを受け、落胆した複数の労働者が建材を梱包(こんぽう)し、現場を離れようとしていた。建設作業員のロサリオ・ロチャさん(52)は「これはひどい仕打ちだ」と述べた。

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