1月6日、雇用を守り「米国第一主義」を掲げるトランプ次期米大統領の相次ぐ発言で、自動車メーカーのメキシコ事業リスクが顕在化してきた。写真は昨年8月、オハイオ州アクロンで演説するトランプ氏(2017年 ロイター/Carlo Allegri)

[東京 6日 ロイター] - 雇用を守り「米国第一主義」を掲げるトランプ次期米大統領の相次ぐ発言で、自動車メーカーのメキシコ事業リスクが顕在化してきた。日系メーカーは現時点では戦略変更はせず、トランプ氏の政策を注視する構えだ。ただ米国企業だけでなく、日本企業のトヨタにも批判が及び、同氏の本当の狙いは日本製の車なのではとの声も業界から出始め、緊張感が高まっている。

メキシコ生産「あり得ない!」

「トヨタ自動車は米国向けの『カローラ』を生産する工場をメキシコのバハに新しく建てると言っている。あり得ない!米国に工場を建てるか、高い関税を支払え」――。トランプ氏は米国時間の5日、短文投稿サイトのツイッターでつぶやいた。

 トヨタの新工場建設予定地はバハ・カリフォルニア州ではなくグアナファト州で、同氏の発言内容は事実と一部異なるが、同社は昨年11月に起工式を開いたばかりで、2019年の稼働に向けてすでに建設に入っている。総投資額は約10億ドル、生産能力は年20万台で、現地で約2000人を雇用する計画だ。

 今のところメキシコに工場を構える日系メーカー各社は大幅な戦略変更の予定はない。ただ、関係者によれば、ホンダは日本で生産する米国向け小型車「フィット」をメキシコ生産に集約する計画があったが、日本からの輸出をいままで通り続ける。また、今年からメキシコで増産する計画のある米国向け多目的スポーツ車(SUV)「HR―V(日本名:ヴェゼル)」も、日本からの米国輸出を検討している。

 トランプ氏は3日に米ゼネラル・モーターズがメキシコで「シボレー・クルーズ」を生産していることをツイッターで批判し、「米国で生産するか多額の関税を支払うべき」と警告。すでに米フォード・モーターが同日、米国での雇用が奪われるという同氏による批判を受けて18年稼働予定のメキシコ新工場計画を撤回し、米国内の既存工場の能力増強に計画を変更している。