手取り年収に影響を与える今年の制度改正は、厚生年金保険料率の引き上げ(本人負担分0.059%)と、雇用保険料の引き下げ(本人負担分0.3%)のおもに2点。どちらも小幅な料率改正のため、手取りに与える影響は前年比2000~4000円減とわずかに留まった。

 厚生年金保険料は、2004年の年金制度改正で毎年0.354%(本人負担0.177%、事業主0.177%)ずつ引き上げ、2017年以降は固定されることが決まっている(2017年だけは0.118%の引き上げ)。14年間続いた厚生年金保険料アップは、これで一段落する。

年収1000万円超の人は増税

 一部の人に影響がある制度改正も見ておこう。額面年収1000万円を超える会社員は、サラリーマンのみなし経費である「給与所得控除」が縮小するため、所得税・住民税が増税になる。額面年収1200万円の人で昨年より約3万3000円、1500万円では約4万4000円、税負担が増える。

 高所得者が増税になる改正は、報道で大きく取り上げられることが少ないので「知らなかった」という人も多いと思うが、該当する人はしっかり押さえておきたい。以前は、どんなに年収が多くても給与所得控除に上限は設けられていなかったのが、2013年の税制改正で上限が設置された。給与所得控除縮小による増税スケジュールは以下の通り。

【給与所得控除額の縮小スケジュール】
2013~2015年:年収1500万円超の上限を245万円とする
2016年:年収1200万円超の上限を230万円とする
2017年:年収1000万円超の上限を220万円とする

 年収1200万円の会社員(税務上の扶養家族は妻と高校生の子2人)の場合、2017年の手取り収入は、増税実施前の2012年に比べると約9万円減、年収1500万円は約18万円減ることになる。

 また、大企業の会社員や公務員は、介護保険料が上がる可能性がある。保険料の計算において今年8月より「総報酬制」が導入されるため、健康保険組合や共済組合は料率がアップする公算が大きいからだ。反対に中小企業で働く人は下がる可能性がある。

額面年収が同じでも
15年間で50万円も手取りが減っている!

 年収1000万円以下の人については、この数年、大きな制度改正がなかったため手取り減少は一段落した観があるが、過去を振り返ってみると、税金と社会保険料の負担はじわりじわりと引き上げられている。

 図(3)は、額面年収700万円の2002年からの手取り年収の推移を表すグラフだ。