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駐韓大使が一時帰国、それでも日本は慰安婦像増殖を止められない

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第192回】 2017年1月14日
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 今月六日、政府は駐韓日本大使及び釜山総領事両名を“一時帰国”させる旨を発表した。釜山の日本総領事館前に“慰安婦像”が設置されたことに関しての対抗措置として、である。

 また、大使の一時帰国に併せ、釜山総領事館職員の現地行事への参加見合わせ+日韓通貨スワップ協定の中断+日韓ハイレベル経済協議の延期の措置がとられることも明らかにされた。

 大使を赴任地から引き上げさせるなんてのは本来なら異常事態なのだが、五年前(当時の李明博大統領が竹島に上陸した際)にも駐韓大使が一時帰国した経緯があり、こと韓国においては起こりがちなことではある。が、今回の措置は異例と言っていいほど厳しいものだった。

 そのため、「韓国には日本相手なら、合意の“ちゃぶ台返し”など『何をしても許される』という考えが根底にある」(産経新聞)そうだが、今回の措置には韓国に動揺が見られるという。

 〈釜山の慰安婦像設置をめぐっては、昨年一二月二八日に市民団体によって一旦設置されたが、設置先の釜山市東区庁が撤去。東区庁に抗議が殺到したとして区側が一転して設置を容認、三〇日に再度設置され、三一日には除幕式が行なわれていた。これは外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約を無視する違法行為にあたる〉

 経緯を説明する産経新聞は、こうも書く。

 〈韓国外務省はソウルの像については「民間が行なっていることで、あれこれ言えない」と繰り返し、釜山の像については「自治体が判断する問題」と責任を放棄した〉

 一昨年末、日韓両国は元慰安婦問題を“最終的かつ不可逆的に解決させる”とした合意を表明した。大事なことだから繰り返すが、慰安婦問題に関してあれこれ言うのはこれが最後で、もう二度と蒸し返さないと両国は約束したのである。

 国内には、慰安婦問題や賠償責任は一九六五年の日韓基本条約で解決済みとの見地から合意すべきではないとの反対意見もあったが、両国は合意に踏み切り、日本は元慰安婦支援を目的に設立する財団に十億円を拠出し、韓国は大使館前に設置された慰安婦像撤去に向けた“努力をする”ことを確認しあった。

 昨年七月に財団は設立され、その一ヵ月後に日本政府は十億円を拠出した。日本は合意に従ったが、韓国はどうか。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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