JVC・ケンウッド・ホールディングス会長兼社長<br />河原春郎<br />長らく続いた構造改革にメド<br />統合から2年半で復活の兆しPhoto by Kazutoshi Sumitomo

──2010年10~12月期は、08年10月に日本ビクターとケンウッドが経営統合して以来、四半期ベースで初めて最終損益が53億円の黒字になった。長らく続いた構造改革に、一定のメドがついたと見ていいのか。

 やっと長いトンネルの出口が見えてきたところだ。もっとも、まだ最後の施策である早期希望退職者を募っているところで(3月1日、募集人員約500人に対し738人が応募)、今、いちばん厳しい思いで取り組んでいる。

──統合してから、利益が出るまでそうとう時間がかかった。

 08年、統合を決めた直後にリーマンショックが発生した。その後、業績が低迷を続けるなか、昨年3月には子会社の日本ビクターで不適切な会計処理があったことが発覚し、05年3月期にさかのぼって決算の訂正を行うことになってしまった。その間、前向きな施策に取り組むことができなかった。

 その一方で人員削減以外にも、あらゆる事業を見直してきた。統合時の最大の懸案事項であったテレビ事業は欧米での生産をやめ、付加価値の高い3Dテレビなどに的を絞ったり、台湾EMS(製造受託会社)のアムトランにJVCブランドを供与したり、生産規模を競い合うビジネスモデルから転換した。また、メインフレームを使用していたITシステムをクラウド化するなど、あらゆる点を見直して年間100億円規模のコスト削減を行った。社員は給料カットなども含めて厳しい時期が続いたが、よく耐えてくれた。