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対称形が当たり前だった“傘”の形が変わる?
「常識を覆す小さな発明」は目の付けどころから

工藤 渉
2011年3月10日
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常識では傘は対称形が当たり前だが、非対称にすることで新しいスタイルと機能性を両立している。

 技術の進歩は日進月歩であり、その速度も加速し続ける。確かに10年前、20年前と比べても、我々の生活はより便利になった。しかし、20世紀半ばの人々が夢想した21世紀像のように、月や火星に人間が移住し、アンドロイドが家事を手伝い、ほとんどの人が在宅勤務をする……などという状況は、しばらく実現しそうにない。その代わりに、便利な家電や高機能の携帯電話があるわけだが。

 一般に「進歩」というものは、想像の斜め上を行く傾向があるようだ。また時代が変わっても、目に見えて状況が変化するものではなく、ずっとその姿を留め続けるものも多い。だからついつい小さな進化を見落としてしまいがちだが、ここに来て「常識を覆す発明」が生まれ始めている。

 たとえば、傘がそうだ。折りたたみ傘、ワンタッチ傘の発明は画期的だったろうが、実際は形そのものが進化してきたわけではない。変える必要がない「完成形」だからだと思っていたが、ここにきて新しい形状の傘が誕生したという。まさに「傘の常識」を覆したのである。

 大阪のパアグがこの4月に送り出すビニール傘「雫シンプル8」は、傘の骨の長さを変えることで、非対称の形状になっている。後ろ方向にせり出した形なので、背中が濡れにくいし、幅が狭いため狭い路地でもすれ違いやすいメリットがある。実は同社では、すでに5年ほど前にこのような非対称傘を発売しており、今回の「雫シンプル8」はコンビニでも手に入る普及版ということのようだ。

 「常識を覆す小さな発明」と言えば、大分県のユニバースフーズは油を使わずに遠赤外線でポテトチップスを「揚げる」製法を開発し、すでに内外の菓子メーカーとライセンス契約を結んでいる。肥満大国、ジャンクフード大国の米国という大きな市場もあることだし、もっと話題となってもいいはずだ。

 また、大阪の企業が食品を加熱せずに殺菌する技術を開発したというニュースもある。牛乳に応用した場合は賞味期限が数ヵ月にまでに延びるという。

 当初は再生機能だけだったウォークマン。テキストを入力するだけのポメラ――。「こんなの誰が買うのか」という声に反して大ヒットし、前者は日本人のライフスタイルまで変革してしまった。さすがに傘やスナック菓子にはそこまでの影響力がなく、大きなニュースにはならないが、日々の暮らしで使うモノだからこそ、また別の強さがある。

 比較的小さな企業が、(大々的にではなく)徐々に生活を変え得る技術を生み出すことは、いわゆる「モノづくり日本」の面目躍如として、喜ばしいことである。しかし、そろそろ「大きな一発」も欲しいところだ。そのヒントがこれらの小さな発明に隠されていると考えたい。発明は、全ての「当たり前」を見直すことから始まる。

(工藤 渉)


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