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焦点:東京オフィス市況に大量供給の影 不動産投資ブーム冷やす懸念も

2017年1月16日

[東京 16日 ロイター] - 好調が続く東京都心のオフィスビル市況に先行き懸念が浮上してきた。2018年から新築ラッシュが予想されており、空室率が上昇、賃料相場に下落圧力が強まるとの見方があるためだ。就労人口の減少という構造問題も続く見通しで、東京都心でオフィスビルの供給過剰が鮮明になる事態も予想される。

<2019年から下落の可能性>

三井住友信託銀行調査部の小林俊二主任調査役によると、都心では18年から新しいビルの建設が相次ぎ、20年までの3年間で新たに60万8000坪のオフィススペースが供給される見通し。都心5区のオフィス面積の8.3%(昨年7月)に相当する規模で、都心の空室率は6%程度まで上昇する一方、賃料は19年からなだらかな下落を始める、というのが小林氏の予測だ。

 「仮に新しいビルの空室は埋まっても、移転に伴う二次空室が生じるだろう。IT企業には需要がみられるものの、(賃料相場のけん引役だった)金融機関にはかつてほど強いニーズはない。全体の需要は拡大しない」と小林氏は指摘する。

東京都が15年10月に示した予測によれば、都内の昼間就業者数は10年の817万4000人から35年には737万8000人と9.7%減少する。空室率の増加に拍車がかかりかねない悪材料だ。

不動産仲介会社の三鬼商事によると、都心オフィスの平均空室率は、リーマンショックの影響で12年6月に9.43%まで上昇した。その後、同年12月に安倍政権が発足。アベノミクスの追い風を受けた企業が人員増やオフィス拡大に動き、空室率は下がりはじめた。

オフィスビルは空室率が5%を下回れば賃料が上昇するといわれている。昨年12月時点で、都心の平均空室率は3.61%にまで低下しており、現在は良好なレベルで推移しているといえる。

 「(現在は)賃料が下落局面を迎えるという心配は全くする必要がないほどにタイトな需給状況となっている」と語るのは日本生命不動産部のビル業務推進課長の斎尾正志氏。ただし、「18年からの大量供給がなければ」という前提付きだ。

<早くも広がるテナント獲得競争>

日本生命は皇居近くにある22階建ての丸の内ガーデンタワーを保有する。だが、このビルのテナントである三井物産<8031.T>は20年に竣工する自社ビルに移る予定で、ガーデンタワーには入居企業がいなくなる。日本生命は浜松町にも18年竣工予定の29階建てのビルも開発しており、そこのテナントも誘致している。

築年数の浅い都心の高級オフィスビルでは、すでに空きオフィスが増え始めている。例えば、三井不動産<8801.T>が開発し、07年に開業した六本木のミッドタウン。昨年、約5500人の社員を抱えるヤフー<4689.T>は西武ホールディングス<9024.T>が新築した紀尾井町の東京ガーデンテラスに移転した。さらにファーストリテイリング<9983.T>もユニクロの社員約1000名を今年2月、新設の有明の物流センターに移す。

この2社の移転でミッドタウンには最大で約3割の空室率が生じるとの予想もある。三井不動産は18年以降、日比谷、日本橋、田町などに高層ビルを次々に開業する予定で、これらのビルの入居企業探しも課題だ。

20年の東京オリンピック開催を控え、建築費や人件費は上昇を続けており、今後稼働するオフィスビルは高いコスト負担に見合う賃料が必要。しかし、不動産調査会社のCBRE<CBG.N>の予想によると、17年から18年にかけ、東京の最上級高層ビルの賃料は1%下落する見通しで、18年に竣工するビルの中には入居企業が不足したままオープンせざるを得ないところもありそうだという。

<オフィスビル売買も縮小の心配>

三鬼商事によると、都心オフィスの月間賃料は13年12月にリーマンショック後最低の一坪当たり16,207円まで低下した。昨年12月時点で18,476円まで回復したが、入居状況が改善している割には賃料上昇の勢いは弱い。それを反映して不動産会社の株価もさえず、TOPIXの不動産セクターは昨年7.7%下落、年間ワースト8位のパフォーマンスだった。

賃料の伸び悩みで、ビルの不動産取引も縮小している。みずほ信託銀行系シンクタンクの都市未来総合研究所によれば、オフィスビルの取引額は15年の1兆7880億円から16年には1兆2870億円と28%の減少、全体の取引額も4兆3350億円から4兆円に減った。

市場の期待はヤフーなど成長企業からの需要拡大だが、同社のヤフーのコーポレート統括本部の工藤真一オフィス最適化推進部長は「ワークライフバランスを考える中、サテライトオフィスなど会社の外でも仕事ができるような環境を作ることも考えている」と語る。

同氏は「社員が増えたからといって本社の拡張には限界があると思う」と指摘、積極的に増床のための移転を繰り返すのは難しいとの見方を示している。

(藤田淳子 編集:北松克朗)

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