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インタビュー:米大統領は個別企業でなく大局に専念を=Tロウ・プライスCEO

2017年1月16日

[東京 16日 ロイター] - 米資産運用大手T.ロウ・プライスのビル・ストロムバーグ社長兼最高経営責任者(CEO)は、ロイターとのインタビューに応じ、投資家としては、米国の大統領には個別企業の一挙手一投足を気に掛けるのではなく、大局を俯瞰(ふかん)して企業が成功できる環境作りに専念してもらいたいとの考えを示した。

T.ロウ・プライス・グループ<TROW.O>は、1937年の創立以来、80年にわたってアクティブ運用を行う独立系資産運用会社。米メリーランド州ボルティモアに本拠を置き、9月末時点の運用資産残高は8129億ドル(約93兆円)。

インタビューは同氏が来日した13日に東京で行った。概要は以下の通り。

──最新の投資判断について。

 「まず、当社にはハウスビューがなく、ポートフォリオマネージャーは各自の判断に基づき投資行動を取るのが大原則。そうした中で長年続いた債券上昇相場がいよいよ終わり、目先3─5年については株式が有望とみるマネージャーが多い」

 「株式については割安感こそないものの、そこそこのリターン、米国株で5%程度のリターンが期待できる。バリュエーションでは米国以外のグローバル株が勝るが、業績のモメンタムという点では米国株に軍配が上がる。われわれの得意とする選別投資が有効と考える」

 「米国株については、誰もが(2017年に)企業業績が好転するとみており、既にその期待は株価に織り込まれている。われわれも企業業績はもう一段改善すると考えるが、(前年比増益率の)コンセンサス予想が15─20%であるのに対し、せいぜい5─9%とみている」

 「先ほどハウスビューはないと説明したが、実はコモディティ(商品)セクターについてだけは、現在、全社的に強い懸念を共有している。エネルギー、天然資源の価格については(昨年)、安値から大きく反発したが、当社はその上昇基調の持続性に疑問を持っており、われわれの直近のポートフォリオはその見解を反映している」

 「原油については上昇余地はほとんど残っていないとみており、向こう2─4年という時間軸でみれば、急落はないにせよ、再び下げに転じる可能性もあると考えている。原油、天然ガス、各種金属については、世界景気の回復基調が続くとはいえ、コモディティ価格を一段と押し上げるほどではないとみる。とりわけ北米では、シェール(ガス・オイル)の生産拡大を背景に供給量のだぶつきがある」

 「一方でエネルギー関連株に目を向ければ、現在、コモディティ価格がここからさらに上昇すること、原油価格が1バレル60─70ドル台まで上昇することが織り込まれた水準で取引されているが、われわれはそれが実現するとはみていない」

 「また金融株については、全員ではないものの当社ファンドマネージャーの多くがポジションを強気に傾けている」

 「トランプ次期大統領は規制緩和を政策に掲げており、詳細はまだ明らかにされていないものの、金融セクターに恩恵があると思われる。大統領就任後1─2週間には何らかの具体策を発表するとみており、注目している」

 「金融株については、世界的に長い間大きく調整する局面が続いた後、足元3カ月ほどは値を上げているが、まだ上昇余地があるとみるマネージャーが多い」

──トランプ氏はツイッターを通じた一方向の情報発信を多用し、そのつぶやきが実際に企業や金融市場に影響を及ぼす状況が続いている。アクティブ運用を標榜するファンドマネージャーとして、やりづらさは無いのか。

 「一般論として、大半の投資家は米国の大統領について、個々の企業が米国、あるいはカナダ、メキシコに工場を建設するといった瑣末(さまつ)なことを気に掛けるより、幅広いビジネスが成功を収められるような条件を整備してくれることを望むと言える」

 「大統領が適切な環境を整えれば、自ずと企業の成功は幅広く実現するだろう。逆に、もし大統領がいくつかの個別企業のあれこれに注意を向けてしまうならば、課題を解決する手法としてはやや非効率的とならざると得ないだろう。個別企業についてツイートを行う次期大統領のアプローチは、われわれのような(企業調査に時間を費やす)投資家にとっても有益ではないと思う」

 「大統領は大局(big picture)を俯瞰し、企業ビジネス全般に恩恵をもたらす環境作りに集中すべきだ」

──金利、為替の見通しについて。

 「FRB(米連邦準備理事会)による年内の利上げは2回、米10年債利回り<US10YT=RR>は2.6─2.8%のレンジで推移すると予想する」

 「ドルについては、現在の水準は適正なものだが、仮に急伸する事態となれば米国の経済成長や利上げ回数にも悪影響を与える恐れがあり、注意が必要だろう」

(インタビュアー:植竹知子 編集:伊賀大記)

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