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焦点:対中強硬姿勢のトランプ氏、次期政権内では意見不一致も

2017年1月16日

[ワシントン 13日 ロイター] - 20日に発足する米国のトランプ次期政権は、中国に対し強硬姿勢を示したことで、安全保障から貿易やサイバー空間に至るまで広い範囲で対決することになった。だが、トランプ氏にどの程度準備があるのかは不透明であり、次期政権内部からは矛盾するメッセージも発せられている。

トランプ氏が次期国務長官に選んだティラーソン氏は11日、米国は中国に対し、南シナ海の人工島へのアクセスを認めない姿勢を示すべきだと発言し多くの議論を呼んだ。

トランプ氏の政策顧問によるとティラーソン発言は、武力衝突のリスクを伴う人工島の海上封鎖を、新政権が意図していることを示したものではないとする。ただ、別の政権移行チームのメンバーはこの見解を否定。ティラーソン氏が中国の人工島アクセスを認めない態度を表明したのは「失言ではない」と主張した。

移行チーム内部では、政策上の対立がうかがえる中、南シナ海での中国の台頭に対抗する計画が練られている。

政権移行顧問はロイターに対し、南シナ海への2隻目の空母配備ならびに駆逐艦、攻撃型潜水艦の追加投入、ミサイル防衛システム用の電源拡充、さらには日本やオーストラリアでの基地増設などを検討していることを明かした。北朝鮮と国境を接する韓国で、米空軍に「長距離打撃爆撃装備」を配置することも考えているという。

トランプ氏自身は海軍の艦船を350隻に増強する意向を示しているものの、ほかにも巨額の支出が見込まれており、政権移行チームは海軍増強資金をどう手当てするか明らかにしていない。

中国外務省は、ティラーソン発言の意図は不明だとした。ただ、中国共産党機関紙「人民日報」系の国際情報紙は13日、人工島へのアクセスを米国が阻止するなら「大規模な戦争を行う」覚悟が必要だと警告した。

ティラーソン発言は政府が長年コミットしてきた「航行の自由」に矛盾するとみられ、国防長官に就任する予定のマティス元中央軍司令官は賛同していない。

マティス氏は、中国の南シナ海における活動は世界の秩序に対する攻撃につながると述べた。ただ、米国と国防省は「不完全もしくは一貫しない戦略に対応する必要が生じないよう」、調和のとれた政策をまとめ上げる必要があるとも話した。

トランプ氏は選挙戦中に再三、中国は貿易面で米国に「性的暴行」を加えていると激しく非難してきた。同氏が直面する最大の外交的問題へ新政権はどうアプローチするのか。相反するメッセージは、そこに困難があることを浮き彫りにしている。

<リスクと報復>

移行チームに非公式に助言をしている政府元高官は、米国が軍事や貿易で中国に圧力をかけた場合のリスクをチームは十分考慮していないと指摘。ロイターに対し「中国からの報復などを過小評価すべきではない」とくぎを刺した。

トランプ氏は中国製品への報復関税も示唆しており、両国だけでなく世界経済にも悪影響を及ぼすリスクが出ている。

トランプ氏は国家安全保障に関連して、アジア地域に関する経験を豊富に有する高官をまだ指名していない。より安定したアジア政策を策定するためにレトリックを行動に変換する専門知識が、新政権には不足するのではないか――アナリストにはそう考える向きもある。

だがトランプ氏は、中国に対し批判的な考えを持つロバート・ライトハイザー氏を米通商代表部(USTR)代表に指名。新設する「国家通商会議」には、著作「Death by China」(中国が破滅をもたらす)で知られる対中強硬派エコノミストのピーター・ナバロ氏をトップに据えることを決めた。

トランプ氏の顧問らは、「力による平和」を追求する姿勢は米国のアジア政策を強化すると主張。こういったアプローチが危険であり逆効果を生むとの懸念を一蹴してみせる。

トランプ氏と閣僚候補者らは、北朝鮮の核やミサイル問題に関しても、解決に向けて中国に圧力を強めていく考えだ。だがアナリストらによれば、米国がサイバー攻撃などの問題に関し中国への圧力を増すのであれば、中国側は協力する気はないという。

今年は5年に1度の中国共産党全国代表大会を控えており、権力基盤の強化を狙う習近平国家主席の下、台湾や南シナ海といった重大な国家主権の問題は強い反応を引き起こすとの見方は多い。

北京大学のZha Daojiong教授は、文明間の衝突というテーマは中国社会で一段と取り沙汰されるようになっており、悪い前兆だと指摘。「南シナ海を巡って、米国で士気を鼓舞する太鼓が鳴り続けても、問題解決にはまったくつながらない」と語った。

(Michael Martina記者、Christian Shepherd記者 翻訳:田頭淳子 編集:高木匠)

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