[ワシントン 16日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は16日、世界経済見通しを公表し、2017年の世界成長率予想を3.4%、18年は3.6%とし、昨年10月時点の見通しを据え置いた。一方で、トランプ米次期政権で見込まれる財政刺激策を踏まえて米成長率予想を引き上げた。

17年の米成長率見通しは2.3%と、前回予想(2.2%)から若干引き上げた。18年分も2.5%とし、前回予想(2.1%)から上方修正した。

ただ、トランプ政権で見込まれるインフラ投資や減税を含む拡張的な財政政策によってインフレが高進するリスクもあると指摘。

IMFの首席エコノミスト、モーリス・オブストフェルド氏は声明で、「財政政策による需要増と同時に生産能力の制約が強まれば、インフレ抑制に向けて利上げペースを高める必要が生じ、ドルが大きく値上がりし、実質成長率が低下し、財政への圧力が高まり、米経常赤字が拡大するだろう」と指摘。

そうなれば米国の貿易政策が保護主義の色合いを強め、報復的な対応を取る可能性が高まるとした。「そのような想定ではすべての国が大損する」と警告した。

オブストフェルド氏によると、IMFの見通しはトランプ次期政権の貿易政策に関し、いかなる前提も踏まえていないが、ドル高や原油高、インフレ圧力の高まり、米金融政策のより進展が早い正常化を前提としている。

<リスクは下向き>

原油・商品相場が底堅さを増し、石油輸出国の見通しが改善した一方で、金利上昇や金融情勢の引き締まりで、メキシコやブラジルを含む多くの新興国市場経済にマイナスの影響が及ぶとみられている。

メキシコの成長率見通しは17、18年とも、0.6%ポイント引き下げた。米政策に絡む投資の不透明感を指摘した。

中国の17年成長率見通しは0.3%ポイント引き上げ、6.5%とした。政府の刺激策が継続することを見込んだ。18年は6.0%に据え置いた。

刺激策への依存や急速な債務の拡大、企業債務の対応で進展が遅れていることから「より急激な減速、あるいは混乱を来たす調整のリスクが高まった」と警告した。

インドの16━17年度成長率見通しは6.6%で前回予想の7.6%から大きく引き下げた。高額紙幣廃止に伴う消費への打撃を理由に挙げた。17─18年度見通しも7.2%とし、前回予想(7.6%)から引き下げた。

ユーロ圏、日本の17年成長率見通しはそれぞれ0.1%ポイント引き上げた。昨年下半期のパフォーマンスが予想以上に堅調だったことが主な要因。

英成長率の17年見通しも0.4%ポイント引き上げたが、18年は0.3%ポイント引き下げた。

IMFは、リスクについて下向きとした。保護主義的な政策や金融情勢の引き締まり、欧州銀行システムにかかる負荷のほか、地政学的な緊張の高まりなどがリスク要因となる可能性を指摘した。

一方、米国や中国の刺激策が現在の想定を上回る内容となれば、サプライズ的に成長が上振れる可能性もあるとした。4月の次回見通し公表までに、米政策の方向性がよりはっきりするとの見方も示した。

*内容を追加しました。