ダイヤモンド社のビジネス情報サイト

アングル:中国当局の介入、人民元安見込む長期投資家は無傷

2017年1月17日

[シンガポール/ロンドン 13日 ロイター] - 中国当局は今月初め、人民元売りに歯止めを掛けるために香港のオフショア人民元市場で流動性を急激に絞り、金利を大幅に上昇させたもようだ。しかしこうした市場介入で退治できたのは数少ない短期狙いの投機筋だけで、人民元安を見込む長期狙いの投資家は無傷のままだ。

香港のオフショア人民元市場は6日、当局によるとみられる流動性の引き締めにより翌日物金利が一時87%と前日の4%から急上昇し、過去最高を更新。オフショア人民元の対ドル相場も過去最低の1ドル=7元近くから持ち直した。

中国人民銀行(中央銀行)は介入を確認していないが、市場関係者は中銀が動いたとみている。

しかしトレーダーによると、人民元の投機的取引のため定期的に借り入れを行っている一部ヘッジファンドは介入でポジションの手じまいを迫られたが、人民元弱気派の大半は長期投資家であり、攻撃力を失っていない。

ミレニアム・グローバル(ロンドン)のポートフォリオ投資共同ヘッド、リチャード・ベンソン氏は「ヘッジファンドの多くは翌日物資金を調達しているが、ほとんどの投資家は3カ月物より長期の資金を確保しており、介入の影響を受けていない」と述べた。

BNPパリバ・インベストメント・パートナーズ(ロンドン)の新興市場債デピュティヘッドのジャンシャルル・サンボー氏は「当局の狙いは、ある程度の先行き不透明感を作り出し、人民元相場は一方向にしか動かないわけではないと投資家に認識させることがすべてだった」と分析。「オフショア人民元の売り持ちを一掃しようとした取り組みではなかったが、警鐘を鳴らすのにうってつけだった」と話した。

サンボー氏によると、介入は特定のタイプの投資家を標的にしたというよりも中国からの資本流出に働き掛けるのが主眼だった。特に年明けは、年間5万ドルの個人の外貨両替規制が見直されるタイミングに当たる。

中国は昨年、貿易黒字や外国直接投資の縮小、高利回りを求める個人投資家の外国投資などで資本が流出。当局は人民元安を食い止めようと市場に介入し、外貨準備高が昨年中に3190億ドル減少した。

人民元のポジションに関する正式な統計はないが、ロイター調査によると昨年9月以降、売り持ちの状態が続いている。

トランプ次期米大統領の財政拡張政策や米連邦準備理事会(FRB)の利上げ加速の見通しなどで米ドル高が進んだのが背景。

1月初めのオフショア人民元市場の動揺でも、ドルを買い持ちにして人民元を売り持ちにするという戦略は揺らがなかった。

BNPパリバ・インベストメントのサンボー氏は「そもそも実需の投資家やグローバルマクロファンドにとってはドル買い持ちの取引がコンセンサスであり、元安を見込む取引のために大きな借り入れはしていなかった」と述べた。

中国の景気の減速や一層の資本自由化で人民元は一段と下落すると予想されており、当局はさらに外貨準備を取り崩して元安に対抗するよう圧力にさらされそうだ。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの外為戦略グローバルヘッドのマーク・チャンドラー氏は、人民元は中銀の支えがなければ下落して投機筋の攻撃にさらされると予想。「人民元についてはうまい選択肢がないかもしれない。下落のペースを落とすにはコストが掛かるし、全面安を容認すれば大混乱に陥るだろう」とした。

(Vidya Ranganathan、Patrick Graham記者)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


ロイター発 新着ニュース

ロイター提供、日本と世界の最新ニュースをお届けします。

「ロイター発 新着ニュース」

⇒バックナンバー一覧