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焦点:ダボス会議、「トランプ時代」到来に広がる不安感

2017年1月17日

[ダボス(スイス) 15日 ロイター] - 世界経済はここ数年なかったほど好調で、株価は上がり、石油価格も上昇、中国の成長減速懸念も後退している。しかし、今月17─20日に各国要人や企業トップが参加してスイスのダボスで開催される世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)では、最終日の20日に予定されるトランプ次期米大統領の就任や、政治環境の悪化を背景に不安感が広がりそうだ。

英国が欧州離脱を決めて半年もたたないうちに米大統領選でトランプ氏が勝利したことは、ダボス会議の参加者が抱く、グローバリゼーションや自由貿易といった信条にパンチを食らわす結果となった。

トランプ氏は、先進国に広がり戦後のリベラル民主主義への脅威となっているポピュリズムの動きを体現した存在といえる。今年はオランダ、フランス、ドイツ、そしておそらくイタリアでも国政選挙が実施されるとあって、参加者は神経質になっている。

国際研究機関インターナショナル・クライシス・グループのジャンマリー・ゲーノ最高経営責任者(CEO)は「トランプ氏に対する見方がどうであれ、今回の米大統領選の結果は根深い不透明感をもたらしており、ダボス(での年次総会)に大きな影を投げかけることになる」と予想する。

4日間の会期中に予定されているパネル討論は、抑圧され怒りに満ちている中産階級の問題や、ポストEU時代など混乱をもたらしている現在の状況を想起させるテーマが多い。

核となる問題はおそらく、政府や企業のトップが、大衆の怒りの根源的な原因に対する見方で一致し、対策に着手できるかどうかだろう。WEFは年次総会を前に発表した報告書で「公共的な機関に対する信用の低下」を強調し、政治や指導者に対する信頼を取り戻すことの難しさを指摘している。

安定した職業や収入を持たない「プレカリアート」と呼ばれる人々に関するいくつもの著作で知られるガイ・スタンディング氏は、自由市場に基づく資本主義には見直しが必要だと考える人々が増えていると指摘。「いわゆる主流的な企業は、トランプ氏も極右勢力による支配も望んではいない。ビジネスが可能な、安定した世界経済を求めており、そうしたトップらの中には、自分たちがやりすぎてしまったと感じている人も増えている」と話す。

一方、政治リスクコンサルティング会社、ユーラシア・グループのイアン・ブレマー社長は、最近訪問した米金融大手ゴールドマン・サックスのニューヨークの本社で社員らが株価上昇やトランプ氏による減税・規制緩和の見通しを喜んでいたことを挙げ、ダボスで資本主義が根本的に壊れていると訴える人たちには出会えないと指摘する。

また、「現代に合ったグローバリゼーションは可能ではあるが、人々がそうしたことに気づくには時間がかかる」(欧州復興開発銀行のスマ・チャクラバルティ総裁)といった前向きな見方がある一方で、技術変革のスピードの速さや複雑に絡み合った世界経済は、指導者の対応を難しくしているとの声も参加予定者からは上がっている。

グローバリゼーションと開発の専門家であるオックスフォード大のイアン・ゴールディン氏は「国際的な政治状況は、これまで長期間なかったほど悪化している。気候変動などの問題に対し、さらなる協調が求められているのに、世界は内向き志向を強めている」と話した。

(Noah Barkin 記者)

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