また、「優先席以外でも席を譲るべき」と考えている人は全体で57.1%いたが、こちらも2013年調査と比較して約19%も減少している。ちなみに、優先席、優先席以外ともに女性のほうが男性よりも「譲るべき」と考えていない傾向が強いという。

 その一因となっているのは、やはり「譲ろうとしたが、断られた」という苦い経験だ。同調査によると、61.0%の人が席を譲ろうとして、相手に断られたことがあると回答している。つまり、半数以上の人が席を譲ろうとした経験があるにもかかわらず、なんらかの形で拒否された経験があるため、「親切にしても、相手か嫌がるなら……」と萎縮して、その後は譲るのを控えるようになったということである。

 現代においては、見た目の年齢も、本人が持っている自己イメージとしての年齢も以前の基準では測れなくなってきている。しかし、当然ながら「お年寄りに席を譲る」という常識は依然としてあるし、それをなくすべきだとは誰も思わない。だからこそ、「席を譲らなくては」という気持ちと、「いや、でも相手が不快な思いをするかもしれない」という気持ちの間で揺れ、居心地が悪くなってしまう。冒頭で紹介したエピソードは、まさにそうした乗客の心理が現れた一例だったと言えそうだ。

 また、譲らなかったら譲らなかったで、「なんで席を譲らないんだ」と文句を言われるリスクもある。いったい、どうしたらいいのかと頭を抱えている人も多いだろう。

磯野波平と藤井フミヤが同い年の違和感

 今年に入ってから、こんなニュースが世間を賑わせた。

 日本老年学会と日本老年医学会が、高齢者の新定義に関する提言を発表したのだ。それによると、従来の65歳以上という定義を改め、「高齢者」を75~89歳とするという。さらに、65~74歳を「准高齢者」90歳以上を「超高齢者」と定義した。

 両団体は、「高齢者、特に前期高齢者の人々は、まだまだ若く活動的な人が多く、高齢者扱いをすることに対する躊躇、されることに対する違和感は多くの人が感じるところ」とし、「65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなって」いると指摘した。その背景には、「現在の高齢者においては10~20年前と比較して加齢に伴う身体的機能変化の出現が5~10年遅延して」いることがあるとしている。

 たしかに、筆者の父親も70歳を超えているが、いわゆる“よぼよぼのおじいさん”にはまったく見えない。個人差はあるものの、社会全体が「アンチエイジング」している現在において、高齢者の定義は難しい。「定年=隠居」というイメージもない。