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米中貿易戦争、欧州選挙が最大の脅威=ダボス会議出席者

2017年1月17日

[ダボス(スイス) 16日 ロイター] - 今年の世界経済は、トランプ次期米大統領の景気刺激策に期待が広がり昨年よりも良好なスタートを切ったが、米中間の貿易戦争や欧州各国で控える選挙など、大きな不安要因もある─。世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)に出席するエコノミストからは、こうした声が聞かれた。

元ドイツ連銀総裁であるスイス大手銀UBSのアレクセル・ウェーバー会長はロイターに対し、「私は昨年より楽観している。政治、地政学面の不安要因が具現化し、世界経済を脱線させない限り、2017年の経済は予想外に上振れる可能性さえある」と述べた。

ただウェーバー氏は、「過剰な債務、金融政策への過度な依存、不利な人口動態といった根本的な構造問題」は、循環的な景気好転では解決できないと釘を刺した。

ロイターがインタビューしたエコノミスト6人は、今年の最大の脅威として、トランプ次期米政権下で米中間の貿易戦争や、より幅広い経済的な緊張が引き起こされる可能性を指摘した。

昨年インド準備銀行(中央銀行)総裁を退任したシカゴ大の経済学者、ラグラム・ラジャン氏は、中国を挑発するトランプ氏の発言について「どこまでが交渉を有利に進めるための策略か分からないため、一番の不透明要因だ」と指摘した。

 「彼(トランプ氏)の取り巻きが気になる。彼らが保護主義的な世界観を持っていて、米国の調子が悪いのは他国がズルをしているからだと信じているなら、世界にとって非常に悪い結果をもたらすような言辞が生まれてくる」とラジャン氏は述べた。

米連邦準備理事会(FRB)が利上げ局面に入ったことも、今年の新たなリスクだ。

利上げによってドル高がさらに進めば、米国の貿易赤字が拡大し、トランプ氏をさらに保護主義的政策へと駆り立てかねない。

欧州にとって、ドル高・ユーロ安は景気回復を後押しし、欧州中央銀行(ECB)は量的緩和(QE)の手仕舞いを計画しやすくなるかもしれない。しかし国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストであるハーバード大の経済学者、ケネス・ロゴフ氏は「ユーロ圏が安定したと思った途端、そうでなくなるかもしれない」と言う。

 「米金利が上がり続け、ドルがユーロに対して上昇すれば、ドラギECB総裁はインフレ率を押し上げるためにQEを行っているという論陣を張りにくくなる。彼がQEを縮小するなら、(ユーロ圏)周縁国は大きな脅威にさらされる」とロゴフ氏は説明した。

ラジャン氏とグラジュエート・インスティテュート(ジュネーブ)のリチャード・ボールドウィン氏はともに、欧州の銀行の経営問題も世界経済の大きなリスクに挙げた。

しかし最大の脅威は政治かもしれない。4、5月のフランス大統領選には、極右の国民戦線のルペン党首が出馬する。

ウェーバー氏は「政治面で予想外の出来事が起これば、現在のような2017年の良好な経済・金融見通しは根本から覆される」と述べた。

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