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18年度のPB中間目標は達成困難、見直し含め検討へ=政府筋

2017年1月18日

[東京 18日 ロイター] - 政府部内で財政健全化目標を見直す動きが浮上している。2018年度に基礎的財政収支(PB)を名目国内総生産(GDP)対比1%の赤字に抑える目標(目安)が、実現困難となったためだ。目標の見直しも含め、1月下旬に公表予定の財政の「中長期試算」における表現を検討中。20年度PB黒字化目標についても、今年4月以降に経済財政諮問会議で財政の全体像の見直しを議論する可能性が出てきた。複数の政府関係者が明らかにした。

安倍晋三政権は、経済再生と財政再建の「二兎を追う」姿勢を堅持しつつ、水面下では一段と成長志向型となる歳出増へかじを切る検討が進んでいる。

18年度のPB赤字GDP対比1%の目標は、2017年4月の消費増税が前提になっていた。複数の政府関係者は、19年10月への増税延期で不可能となり、目標の見直しは不可避だと説明している。

ただ、政府部内の一部には、目標の先送りないし目標値の赤字幅拡大を早期に表明せず、増税延期による影響などの「特殊事情」を丁寧に説明し、18年度目標値自体はそのままにしておく選択肢を主張する声もある。

一方、20年度のPB黒字化目標は維持し、20日に召集される通常国会における政府演説でも、目標の維持を明確に訴える方針。

ある政府関係者は、20年度PB黒字化目標について「あきらめているわけではなく、(黒字目標の看板を)今下ろすわけにはいかない。少なくとも年度内は言い続けることになる」と述べている。

ただ、政府内には現在の財政再建目標を維持したまま、社会保障費の増大のもとで、経済成長を実現するための「未来型投資」の歳出を伸ばしていくのは難しいとの声が広がり始めている。

ある政府関係者は「20年度黒字化はあまりに非現実的なので、見直そうという議論はある。それ自体はおかしくない」と述べる。

複数の政府関係者は、16年の伊勢志摩サミット宣言や、17年度予算の基本的考え方において、安倍政権として従来以上に財政政策の重要性が高まっているとの考え方をにじませてきたと指摘。政権内で財政再建目標達成のため歳出を抑制するという考え方よりも、成長力を高めるため歳出増を確保する方が優先されるとの声が広がりを見せていると話す。

別の政府関係者は、安倍政権の方針はあくまで「経済再生なくして財政再建なし」であり、「歳出削減はゆるゆるとやることになる」と明言する。

官邸に近い政府関係者の1人はロイターの取材に対し、「財政再建目標のために、歳出削減のつじつま合わせは行わない」と主張。「20年度黒字化目標を含めて、どこかの時点で財政目標の全体像を考え直したい」との意向を示した。

今年4月以降、財政再建の司令塔である経済財政諮問会議でそうした議論が行われる可能性も出てきた。

ただ、日銀のイールドカーブコントロールなどの効果で、国債利払い費用の縮小が見込まれている。その分を利用する形で、歳出増圧力が高まりやすい状況にあると懸念する声も、政府部内にある。

PB黒字化目標の先送りなどの見直しは日本国債格下げ圧力を強め、市場の混乱を招きかねないと危惧する見方もある。

最終的にどのような財政構造を目指すのか、安倍首相の決断にかかっていると言えそうだ。

(中川泉 編集:田巻一彦)

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