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アングル:英首相の離脱方針、EUは「いいとこ取り」警戒

2017年1月19日

[ブリュッセル 17日 ロイター] - 欧州連合(EU)加盟国の指導者は英国のメイ首相がようやくEU離脱計画の青写真を示したことを歓迎しつつも、首相はEU離脱に伴う英国の負担を直視すべきだと考えている。

EU加盟国はこの数カ月、欧州大陸からの移民流入を制限すれば単一市場からも脱退せざるを得ないという事実を、英当局者が公式に受け入れないことに苛立ちを示していた。

しかしメイ首相は今回の会見で単一市場から離脱する「ハードブレグジット」を目標に掲げ、EU加盟国と包括的な自由貿易協定について交渉する方針を表明。EU加盟国の憂慮に終止符が打たれた格好だ。

トゥスクEU大統領はツィッターに「残念な推移であり、超現実的な状況だが、ブレグジットについてより現実的な発表であるのは間違いない」と投稿した。

EU加盟国の指導者は、メイ首相がEU離脱に向けた話し合いを正式に開始するまで交渉の準備を着々と進めるだろう。しかし交渉に備える当局者からは、離脱が英経済に与える多くの負の側面についてメイ首相が触れなかったとの声が上がっている。

メイ首相は、単一市場参加に伴う義務を放棄しながら財やサービスについて最大限のアクセスを維持したいなら、英国は「ギブアンドテイク」の関係を作り、妥協しなければならないと認めた。

しかしチェコのプロウザEU問題担当相はツィッターに「こちらから奪うばかりだ。差し出すものはどこにあるのか」と投稿した。

ドイツのガブリエル経済相などEU加盟国の関係者の間では、EU離脱にあたって英政府に「いいとこ取り」を許すべきではないとの主張が再燃している。

カナダなどの一部の国はEU単一市場への広範なアクセスを求めて交渉してきたが、アクセスの度合いは英国が今享受しているよりも低い。交渉期間は7年以上を要するのが普通だ。

メイ首相は、英国との自由貿易はどの国にとっても利益になり、「ゼロサムゲーム」ではないと訴えた。多くの国は、少なくとも短期的にはこの点に同意しているため、離脱による打撃を最小限に抑えようとしている。

首相は「英国を罰して政治的な主張を通そうとする」なら、欧州大陸の労働者の経済的な利益が損なわれるだろうとも述べた。しかしEUの指導者は、英政府に甘い顔をすると他の国でも有権者がEU離脱の是非を問う国民投票を目指すのではないかと危惧している。

元ベルギー首相のフェルホフスタット氏は「EUや単一市場から離脱した方が残留するよりも良いという状況を絶対に受け入れてはいけない」と主張した。

英国の高官らは、EUが英国に懲罰的な関税などを課すなら、競争力を維持できるよう法人税を引き下げる可能性を示唆している。ハモンド英財務相は「英国の競争力を維持し、生活水準を守るためには何でもする」と述べた。

フェルホフスタット氏はこの発言について、妥結への道のりを険しくするものだと指摘。英国を租税回避地(タックスヘイブン)のような場所すると脅しても無駄だと述べた。

(Alastair Macdonald記者)

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