私たちができるのは、中身ゼロの若手に中身を注入することではなく、若手が持つポテンシャルを引き出し、少しづつレベルの高い仕事ができるように協力することでしょう。

マネジャーは職場の風土をマネジメントし<br />若手支援の空気を醸成するリーダーたれ!

 だからこそ、前回取り上げた「経験学習」の考え方に基づき、事前-事後のうち、事後をより重視し、内省とフィードバックを意識した支援をしてほしいと思うのです。

 新入社員も同じで、最初に身につけておく必要があるのは、名刺の出し方をはじめとするビジネスマナーを脊髄反射的に実行できるようになることではなく、状況に応じて自分のアタマで考えて行動できるようになることです。いつまでも、マネジャーや先輩社員が客先に同行できるわけではないのですから。

 支援をする。それも、マネジャーだけではなく、職場の全員が若手に対する関心を持ち、みんなが適度にかまうこと。その適度なかまい方をマネジメントすることこそ、マネジャーにとって大事な役割かもしれません。

上司-部下間の垂直関係から
職場内の水平的な支援関係に

 かつて、日本企業の職場は、擬似家族的な雰囲気を持っていました。私が新卒で入社した25年前は、間違いなくそうでした。

 バブル崩壊後、そんな雰囲気は薄れました。一般職の女性社員は派遣社員に置き換わり、組織のスリム化でメンバー自体が減っていきました。

 採用抑制で、なかなか後輩が入ってこない中で、上司・先輩もスリム化でいなくなったかつての若手は、満足に育てられた経験がないまま、今、マネジャー層になっています。