グローバル人材の採用
ポイントは「動機」

「グローバル人材」を採用するために、まず何を見なければならないのでしょうか?

 これについては、様々な調査や研究がありますが、私たちは以前から東京大学中原淳研究室、京都大学溝上慎一研究室、電通育英会と共同調査研究をやっており、その調査の知見から、採用で見抜かなければならないポイントは「動機」ではないか、と考えました。海外で働きたいという気持ちは、当人の持つ「動機」がもっとも強い影響を与えるのです。

 どのような仕事であれ、業務の質というものは「動機(Motivation)」と「能力(Ability)」と「機会(Opportunity)」の3つで決まります。これは「MAOモデル」と呼ばれていますが、要するに、やる気があって能力のある人に機会を与えれば業務の質は上がるというわけです。

 このうち「グローバル人材」を採用する際に重要なのは、「動機」です。どれだけ語学力が高く、海外に行くチャンスに恵まれた人でも、「海外で働きたい、機会があれば海外に行ってみたい、海外でチャレンジしてみたい」といった「動機」がなければ、能力やチャンスを生かすことができないからです。しかも、それは教育機関にいるときから、長い間かけて形成されるものです。

 また、「能力」は後から獲得できる、という考え方もできます。『トップグレーディング(Topgrading (How To Hire, Coach and Keep A Players))』という米国の採用研究の本によると、個人の能力や資質は「採用時で見極めるもの(後から変わりにくいもの)」と「育成で何とかなるもの(後から変わるもの)」という2つに分けることができるそうです。

 例えばコミュニケーション能力を含めた語学力やビジネススキルのようなものは、育成可能だと言われています。一方、長い時間をかけて鍛えられていく知的能力や野心、情熱、動機といったものは、即席で鍛えることが難しい能力、資質ですので、採用時はそうした部分を、しっかりと見極めなければならないわけです。