「海外に行きたくない」
学生にはびこるウォシュレット依存症!?

 では、今の大学生たちは海外で働くことについてどのように思っているのでしょうか?

 先述した大学生調査によると、「機会があったら海外で働いてもいい」と答えたのは、わずか37%でした。私は「ウォシュレット依存症」と呼んでいますが、残念ながら、今の大学生たちは、やはり「内向き」というか、日本の便利な生活を捨てられない、というところがあるようです。

 では、「海外で働いてもいい」と答えるのはどんな学生かと分析してみると、実は男女とか、大学偏差値とか、留学経験といったところには、それほど大きな差は出なかったのです。

 留学経験があっても海外志向につながっていない、というのはどういうことでしょうか。新卒の採用面接を担当なさったことのある方ならば、察しがつくのではないかと思います。

 以前、ある銀行で面接官をなさっていた方が私にこのようにこぼしておられました。「面接して出てくるエピソードが、猫もしゃくしも留学なのです。僕は朝から晩まで留学の話を聞いています」と。

 そうなのです。最近の学生さんは、面接でみなさん口をそろえて留学経験があると語ります。「留学経験が全くないという人を探すほうが難しいくらいだ」と言う面接官の方もいました。

 ですが、これにはカラクリがあって、大学がお膳立てしたプログラムに乗っかって、1週間程度ちょこっと海外に行っても「留学しました」と言っているというのが実情です。

 私も大学側の人間なので、大声で言えないところがありますが、そんな裏事情もあって、「留学経験がある」というだけで、必ずしも「海外で働きたい」という動機につながるとは限らないのです。