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クラウド会計を使いこなす方法
【第1回】 2017年1月23日
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土井貴達・米津良治・河江健史

クラウド会計が中小企業の
「お金の悩み」を解決する理由

Fintechの代表的なサービスとして、2012年頃から税理士や企業へ急激に普及し始めた「クラウド会計」。

一般的に、クラウド会計のメリットは、「業務効率が格段に上がる」「資金繰りをタイムリーに共有することで経営分析や資金調達に役立つ」「社会保険料率や税制改正に自動対応するため業務効率が上がる」「資金繰りの不安が一掃されて、“数字に強い社長”になれる」といったものが挙げられます。

とはいえ、まだ「本当に自分の会社に役立つのかわからない」というケースも多いようです。そこで本連載では、書籍『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』の内容を元に、100社以上にクラウド会計を導入してきた税理士と会計士が、具体的なメリットや導入法・活用法を解説していきます。

全法人の25%がすでに
クラウド会計を利用している?

2016年末現在、クラウド会計を使用している企業の数は、少なく見積もっても100万事業所を超えるといわれています。日本の法人の数は400万社弱ですから(中小企業庁2016年調査)、たった4、5年で、全法人の4分の1がクラウド会計を導入したことになります。この数字を見れば、クラウド会計のユーザーが爆発的に増えていることがわかると思います。

しかし、我々が公認会計士・税理士として日々、企業の経営者の方々と接していると、クラウド会計を単なる「便利な会計ツール」と考えている方が、まだまだ多いと感じます。

とりわけ、クラウド会計のメリットとして挙げられやすいのが、「業務の効率化」です。『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』で具体的なメリットについて詳しく説明していますが、主に記帳業務が自動化されることによって、経理業務は劇的に効率化されます。事実、「事務作業にかける時間が今までの5分の1になった」というユーザーも少なくありません。

しかし、会計業界におけるクラウド化の本質は、「業務の効率化」にとどまりません。業務が効率化されることで、より付加価値の高い、より生産性の高いサービスに注力するための時間と余力が生まれるというところに、クラウド会計の本当の価値があると感じています。

クラウドサービスの代表例と言えるGmailやDropboxは、今やあたりまえのようにビジネスの現場に普及しています。今後は、会計・請求・給与・経費精算などのバックオフィス系だけでなく、顧客管理や在庫管理など、あらゆる経営リソースがクラウド化していくことは、ほぼ間違いありません。

経営者や経理担当者にとって、クラウド化は、その是非自体を問う時期は終わり、「どう活用できるか?」を考える段階に入ったと言えるでしょう。

では、クラウド会計は実際の仕事にどのような影響を及ぼすのか。企業の経営者・経理担当者の視点から、具体的に見ていきましょう。

企業が税理士と協力しながらクラウド会計を導入する際のフローチャート
(図表内の参照ページは、書籍『会計事務所と会社の経理がクラウド会計を使いこなす本』に沿ったものです)
拡大画像表示

何が「自動化」されるのか?

まず、業務効率の面から言えば、従来の会計ソフトは、通帳を開いて日付、勘定科目、金額、摘要欄の入力までやって、やっと1つの取引が完了しますが、クラウド会計の自動連動機能は、日付、内容、金額を取り込み、たとえば「A社の入金は売上」と指定しておけば、学習機能によって翌月からほとんど何も作業が発生しなくなります。毎日自動的にデータが取り込まれるため、作業が減り、入力ミスも激減します。

また、会計ソフトからの移行の手間を心配されるケースも多いのですが、データインポート機能が充実しているため、他社会計ソフトで作成された仕訳データ、銀行・カード等の入出金データ、現金出納帳、その他帳簿、提携サービスの業務データなどを、スムーズにインポートできます。

税制改正や社会保険料の変更は自動的に反映され、ソフトのバージョンアップも不要になるなど、小さな作業効率の向上が積み重なり、結果的に経理担当者の「余力」を生みます。

経営者のどんな悩みが解決するのか?

そして、「忙しい経営者が即時に経営数字を把握できる」というメリットも見過ごせません。たとえば飲食業や美容院や製造工場などの中小企業の経営者の中には、現業に携わりつつ社長業をされている方も多く、じっくり数字に向き合う時間が取りにくいのが実態でしょう。

クラウド会計を利用することで即時に業績が把握できれば、「自社が儲かっているか」「資金繰りに問題がないか」「取引先からの振り込みは完了したか」という不安にかられることがなくなり、銀行に行かなくても手元のパソコンやスマートフォンで即時に確認できるようになります。そうした「日次決算」状態が実現するために、財務に意識を向けやすくなるのです。

クラウド会計は、生まれて間もない新しいツールではありますが、確実に経営を前へ進める日進月歩の技術です。会計業界がクラウド化していく過渡期にある今こそ、ぜひ、いち早くクラウド会計に触れて、最大限使い倒していただきたいのです。

(※クラウド会計導入企業の実例を紹介した、
こちらの連載→diamond.jp/articles/-/114095も是非ご覧ください)

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    土井貴達(どい・たかみち)

    1973年生まれ。関西大学商学部卒。公認会計士・税理士。
    土井公認会計士・税理士事務所代表。2012年に大手監査法人金融部を退所し、独立。
    監査法人勤務時代に実施していた取引先企業への貸付金、有価証券の査定業務に係る監査、
    コンサルティング業務などを通じてあらゆる業種に精通。
    独立後も、企業融資のサポートを得意としている。
    独立直後からクラウド会計の導入を始め、クライアント企業への導入サポートは数十社に及ぶ。
     

    米津良治(よねづ・りょうじ)

    1983年生まれ。上智大学法学部卒。税理士。税理士法人ファーサイト・パートナー。
    上場企業にてIR職、経理職等を経て現職。
    企業勤務時代に社内横断の業務プロセス改善プロジェクトの中心メンバーとして
    活動したことをきっかけに、業務効率化にこだわりを持つ。
    早くからクラウド会計の優位性に着目し、研究を開始。
    わずか1年で30社以上のクライアントにクラウド会計を導入した実績を持つ。
     

    河江健史(かわえ・けんじ)

    1979年生まれ。早稲田大学商学部卒。公認会計士。河江健史会計事務所代表、FYI株式会社代表取締役。
    監査法人、証券取引等監視委員会等での勤務を経て現職。
    「クラウド会計は人材不足に悩む中小企業の救世主」という思いのもと、クライアントへの導入を進める。
    主な共著に『リスクマネジメントとしての内部通報制度:通報窓口担当者のための実務Q&A』(税務経理協会)、
    『国税庁「税務に関するコーポレートガバナンスの充実に向けた取組み」徹底対応 税務コンプライアンスの実務』(清文社)、
    『インドネシアのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社)などがある。
     


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