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2006年下期日銀議事録、政府がゼロ金利解除に難色

2017年1月20日

[東京 20日 ロイター] - 日銀は2006年7月から12月に開催された金融政策決定会合の詳細なやり取りを記載した議事録を公表した。世界的な好景気と円安・株高基調を背景に、福井俊彦総裁ら執行部は7月にゼロ金利政策を解除して利上げに踏み切るが、政府側は時期尚早として強くけん制。直後の8月に、消費者物価指数が基準改定により大幅に下振れた。

当時の安倍晋三官房長官(現首相)は、この際に日銀への不信感を募らせたと推察される。

当時の世界経済は、リーマン・ショック前の拡張期。ドル/円<JPY=EBS>は110円台後半、日経平均<.N225>は1万5000円━7000円台で推移した。

日銀は、同年3月に金融機関が日銀に預ける当座預金を拡大する形での量的緩和政策を打ち切り、金融緩和の目安を量から金利にシフト。短期金利をゼロとする政策を展開していた。現在の日銀も、昨年9月に金融緩和の目安を金利にシフトしており、奇しくも政策運営の局面に類似点がみられる。

短期金利を従来のゼロ%から0.25%に引き上げた7月13━14日の決定会合では、福井総裁が「経済・物価情勢は、今後ともシナリオどおり推移するがい然性が高い」と、物価の上昇に強い自信を表明。「これまでの政策金利水準をそのまま維持し続けると、逆に結果として、将来、経済・物価が大きく変動する可能性、リスクにつながる」と主張した。

他の委員も「ゼロ金利解除は金融市場で確実視されており、見送った場合、サプライズとなり金融市場が混乱する可能性が高い」(水野温氏審議委員)と平そくを合わせる。

一方、政府側出席者の赤羽一嘉財務副大臣は、ゼロ金利解除の提案後、財務相らとの意見のすり合わせを行い、会合は20分間中断。その後「インフレの懸念が見られない現在の状況では、ゼロ金利政策の解除については、必ずしも急ぐ必要はない」と、明確な反対姿勢を表明した。

仮に解除する場合は「金融政策の先行きの考え方や道筋について、丁寧に説明していただく必要あり、今後の利上げが連続的なものとなるわけでないとのメッセージをきちんと発信していただきたい」と要請した。

直後の7月18日に政府は、経済財政白書でインフレ目標の設定を提言。具体策として、1)低金利を一定期間続けることを事前に約束、2)望ましい物価上昇率を掲げるインフレ目標政策、3)デフレがなければ実現した本来の物価水準に達するまで、高い物価上昇率を許容する物価水準目標政策――の3手法を例示している。

8月の会合では「株価、為替レート等の動きを見ると、利上げが織り込まれていたこともあって、市場が政策変更を平静に受け止めたことがわかる」(須田美矢子審議委員)と、利上げによるネガティブなインパクトはなかったとの評価した。

一方、春英彦審議委員は、帝国データバンクの調査を引用し「企業の6割が、年度内の追加利上げによって、景気が腰折れすることを懸念している。企業の間では、金利上昇への警戒感が根強い」と慎重な見方を示した。

8月の基準改定によって消費者物価指数は、目安となる生鮮食品を除く消費者物価(コアCPI)が0.5ポイントも下方改定された。

しかし、9月の決定会合では、福井総裁が「そもそも技術的な改定であり、背景にある実体経済は、物価の見方が変わらない以上、これに大きくとらわれることはない」と総括している。

<高まる年内追加利上げ観測、要人発言で市場迷走>

その後、経済・物価が日銀のシナリオに沿って改善していく中で、市場では追加利上げ観測が台頭する。

11月の会合では、須田委員が10月末に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で示したシナリオへの確信が強まれば「実質的な緩和度合いがバブル期以上に強まっている状況下、政策変更についてはちゅうちょなく検討すべきだと考えている」と発言。

水野委員は「展望リポートで示したメカニズムについての判断を維持するのであれば、10月の展望リポートの中間評価を行う1月の金融政策決定会合までに、金利水準の調整を行うべきである」と、タイミングにも言及している。

12月に入ると市場の年内利上げ観測が強まり、日銀関係者や利上げに否定的な政府・与党幹部らの発言が交錯するたびに市場は上下に振れやすくなった。

結局、追加利上げは翌年の2月会合まで見送られるが、12月会合で須田委員は市場を揺らした要人発言について「市場の金利形成から得られるはずの貴重な情報を歪める」とし、「われわれが新たな金融政策の枠組みで目指す市場との対話方法とはかけ離れたものであり、クレディビリティを失うことにもつながりかねない」と述べた。

(竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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