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インタビュー:財政健全化目標、期限にこだわる必要ない=浜田参与

2017年1月20日

[東京 20日 ロイター] - 安倍晋三首相のブレーンで内閣官房参与を務める浜田宏一・米イエール大名誉教授は19日、ロイターとのインタビューで、金融緩和の効果を高めるためには財政政策の拡大が不可欠とし、消費税率引き上げの再延期と法人税減税の必要性を指摘した。

政府が掲げる国と地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス、PB)を2020年度までに黒字化する財政健全化目標にこだわる必要はないとも語った。

浜田氏は、アベノミクスの導入後しばらく効果を発揮した大胆な金融緩和策が、長期金利までゼロ%程度に沈むゼロ金利制約などで「昨年はうまく機能していないようにみえた」とし、緩和効果を高めるには「財政刺激策をさらに進めるべきだ」との見解をあらためて示した。

具体策として、2019年10月に延期された消費税率10%への引き上げについて、安倍首相の政治判断としながらも「アドバイザーとして延期すべきと断言する」と強調。トランプ次期米大統領が法人税の大幅減税を公約に掲げていることを踏まえ、国際競争力の観点からも日本のさらなる法人税率の引き下げが重要と述べた。

財政拡大によって2020年度のPB黒字化目標の達成が一段と難しくなるが、「期限にこだわる必要はない」と主張。

米プリンストン大のクリストファー・シムズ教授らが提唱する「物価水準の財政理論(FTPL)」に触れ、こうした理論には問題点もあるとしながらも、「デフレのうちは公債を発行すれば皆がこれもお金と思い、より使ってくれるようになる。そうした政策をとればプライマリー・バランスもある程度改善し、物価も上がる」との見解を示した。

日銀が長期金利をゼロ%程度に誘導しているもとで「財政を拡張すれば金利が上がるが、日銀が金利を抑えることでいい循環ができる」と指摘。デフレ脱却まで日銀は長期金利目標をゼロ%程度に維持すべきとし、物価が2%を超えて上昇を続ける状況では「消費税率を引き上げてもいい」と語った。

一方、急速に円高が進行する局面では「1日に7円とか8円とか円高に動くようなら、政府は投機筋を罰するために介入すべき」とした。

ドナルド・トランプ次期大統領は11日の記者会見で、日本を名指しして貿易赤字に不満を表明した。日本政府の対応について浜田氏は「自分勝手な指導者を喜ばせるために日本が協力すれば、世界のシステムを壊してしまう。追随する政策はよくない」とし、「日本には日本の国益がある。米国が無理なことを言っている場合は、それをとがめることも必要だ」と述べた。

黒田東彦日銀総裁は来年4月に5年間の任期を迎える。浜田氏は 後任人事には「ノーコメント」としたが、日銀総裁の資質について「黒田総裁は国際的な発信力があり、経済学の正しい理解を持っている。それは重要なことだ」と語った。

*このインタビューは、1月19日に実施されました。

(伊藤純夫 金子かおり 編集:田巻一彦)

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