東北関東大震災による電力供給能力の低下を受けて、東京電力の計画停電が3月14日から実施されている。この措置は、少なくとも4月一杯は継続することとされている。

 以下では、電力需要削減のため、計画停電に加え(長期的にはその代替策として)、臨時的な料金の引き上げ、または電力使用に対する臨時的な課税を行なうべしとの提案を行ないたい。

 今後の日本経済にとって、電力制約はかなり深刻なものとなる可能性がある。したがって、電力需要抑制をいかなる手段で行なうかは、重要な意味を持っている。

計画停電だけに長期的に頼ることはできない

 一般に、財またはサービスの需要を抑制するための手段としては、(1)強制的な量的規制、(2)価格引き上げによる調整、(3)自発的需要抑制の要請、の3つのものがある。

 今回行なわれた計画停電は、このうちの量的規制である(経済学では、この手法は、「割り当て」rationingと呼ばれる)。早急に実施する必要があったため、この手法の採用は、止むをえないものであったと考えられる。

 しかし、電力供給能力を早期に回復することは困難な状況にあり、かなり長期にわたって電力不足が継続する可能性がある。原子力発電に対する猛烈な逆風が今後生じうることを考えると、半恒久的に不足が継続する可能性すらある。また、夏季には、冷房のための電力需要が増加するだろう。

 したがって、現在取られている計画停電の手法だけに頼ることは、適切でないと考えられる。これを補完し、あるいはそれに代替する手段として、価格メカニズムの利用を検討することは不可欠である。

 まず、需要削減のための各手法が持つ短所と長所を検討することとしよう。