地域の女性活躍と
ワークスタイルイノベーションを推進

  今回の内閣総理大臣表彰受賞では、「地域と連携した取り組み」も評価された。同社では、国連の「女性のエンパワーメント原則(WEPs)」署名企業として、全国に広がる店舗網を生かし、地方自治体や地元企業との連携による女性活躍を進めているのだ。

2015年度は、全国14都道府県出異業種交流を展開した

「当社は全国に営業網があるため、地方で働く社員がたくさんいます。その強みを生かして、異業種交流や“地方創生に関する包括連携協定”の締結など、地域の社員による自発的な女性活躍の取り組みを推進しています。WEPsでは、地域におけるリーダシップと参画を推奨しており、その方針にも合致する。地域における女性活躍という社会的課題の解決に取り組むことは、地方創生ならびに企業の成長につながると考えています」と西澤社長は強調する。

 また同社は「ワークスタイルイノベーション」と呼ばれる働き方変革にも熱心だ。ワークスタイルイノベーションとは、男女共に従来の働き方を変えることで、生産性の向上を目指すことをいう。テレワークや柔軟なシフト勤務など、時間や場所にとらわれない生産性の高い働き方への変革である。

 例えば、本社部門・営業部門の社員全員に、自宅でも社内と同様のセキュリティレベルのネットワーク環境を構築できるパソコン端末を配付、ICT(情報通信技術)を活用したテレワークを推進している。ICTを活用すれば、場所に縛られることなく柔軟に働けるモバイルワークの環境が整い、育児や介護など時間制限のある社員だけでなく全社員が生産性の高い働き方が実現できる。実際に、テレワーク実施者は16年9月末で、前年比3倍、シフト勤務利用者も1.5倍になったという。

男性育児休業の取得率も急速にアップ 

育休から復帰に向けたフォーラムには上司と部下がペアで参加

 さらに、同社では男性社員の意識改革にも注力、イクボス企業同盟に加盟し、自身のみならず部下のワークもライフも応援する上司(=イクボス)の育成も進めている。また、男性の育児休業取得率100%を目指し、上司から子どもが生まれた部下へ「おめでとうカード(eメール)」を送るなど、取得しやすい仕組みづくりを実施。その結果、男性の育児休業の取得率は、14年度の3.6%から15年度の62.1%へアップした。

 男女共に働き方を変革することによって生産性の向上を目指す。それが結果的に女性活躍を推進し、企業価値を高める。こうした仕組みが好循環で回りはじめているのだ。

「当社の取り組みはまだ道半ば。今回の受賞は、今後の取り組みへのさらなる期待と受け止めています。これからも “Diversity for Growth”の実現に向け、スピード感を持ってチャレンジしていきたいと考えています」(西澤社長)