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第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

女が女を潰すとき…。 上司の「嫉妬心」に潰されたMBAホルダーの悲劇

――組織の論理と対立し、孤立無援となった児玉氏のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第2回】 2008年12月8日
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 「MBA(経営学修士号)を取れば、これからの人生に明るい兆しが見えてくる」―― あなたはこれをどう受け止めるか。日本の企業は、MBAで身につける「合理的な思考」とはまったく違う感覚で、組織が成立しているケースが少なくない。このような職場で、MBAホルダーが立ち振る舞いを誤るとどうなるか。

 今回は、上司の嫉妬心や“付和雷同型”社員が多数ひしめく組織の論理と対立した女性MBAホルダーの結末を紹介する。優秀な女性が「負け組」となった理由とは――。

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今回の主人公
児玉聡子(仮名 35歳女性)
勤務先:中堅の大学受験予備校。従業員数900人(関連会社含む)。大学受験が加熱していく中、優秀な講師を次々と抜擢し、大きく躍進。しかし、90年代半ばからは生徒数が伸び悩み、売上も現状維持が続く。ここ数年は、売上が減る傾向にあり、経営陣は、新規事業を起こす部署を設けた。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています)

孤立無援の職場

 「みなさん、たったいまから児玉さんに責任者になってもらいましょう……」

 新規事業開発部マネージャーの中田裕子(52歳)のうわずった声が、会議室に響く。児玉聡子(35歳)は今年3月に中途採用試験を経て入社し、この部署に配属された。

 中田が話を続ける。

 「今後は、彼女にいろいろと指示を受けてください。私はこれ以上、タッチしません」

 児玉がすかさず反論する。

 「私は、いまの進め方では新規事業はいつまでもスタートできない、と申し上げただけです。もっとマーケティングリサーチの精度を上げていかないと……」

 中田が右手をふって話を遮った。

 「そんな横文字を並べられても、わからないのよ。ここは外資じゃないんだから。自分のやり方で進めたいならば、あなたが責任者としてやればいいんじゃない?」

 「…………」

 「入社して半年で責任者になる人なんて、この会社にいないのよ。あなたの望むところでしょう?」

 中田は、こう言い放って席を立つ。6人の部員は後を追うように、会議室を離れていく。室内には、児玉だけが残された。児玉はここ半年のことを思い起こすと、しだいに空しくなってきた。上司やそれになびく周囲と自分との間には、仕事への姿勢や考え方に大きな違いがある。

 上司であり、所属部署の実質的な責任者である中田とは仕事の進め方をめぐり、意見がぶつかり続けた。その都度、職場で孤立していく。心許して話すことができる人は、この会社にひとりもいない。社会人になって12年間、一度も経験がないことだった。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

会社から冷遇され、気がつくと「負け組」となってしまった人たちを毎回取材。彼らの実体験を振り返ることで、企業の冷酷さだけでなく、自己防衛できなかった敗因を分析。第2次リストラ時代で生き残る術を探る。

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