ドナルド・トランプ氏は1月20日の就任式で宣誓し、第45代米国大統領に就任した。就任演説においては米国第一主義が強調され、「保護主義こそが偉大な繁栄と強さにつながる」「米国のものを買い、米国人を雇用する」とした。2016年11月の大統領選挙後の勝利宣言で、トランプ氏は「米国を世界最強の経済国にする」と発言し、インフラ再構築などを強調した。

 8年間のオバマ政権の末期に漂っていた閉塞感を打ち破り、強い米国経済をつくり上げる新大統領への期待がトランプ相場となって顕現化し、長期金利上昇とドル高、株高が進んでいたが、年明け以降、その勢いに陰りが見え始めた。

 米国を世界最強の経済国にするために同国が保護主義化するとの思惑から、中国などの米国の貿易相手国の利益が損なわれるとの懸念が生じたためとみる。

 世界経済における米国のプレゼンスが年々低下する一方、中国や新興国の影響力は強まっている。米国の保護主義化によって中国などに強い逆風が吹けば世界経済は拡大せず、米国や世界の株価の下落要因となりかねない。