[東京 30日 ロイター] - 大和証券グループ本社<8601.T>の社長に4月1日付で就任する中田誠司副社長(56)は30日、今後の戦略について、M&A(企業の合併・買収)業務のグローバル展開のほか、アジアにおけるウェルスマネジメント業務の拡大や不動産投信(REIT)のような新規ビジネスの展開に前向きな姿勢を示した。

同日夕の会見で語った。

中田次期社長は「基本的には主戦場は国内」としたうえで、国内ビジネスを成長させるために「必要なファンクションは海外に持っておかなければ」と述べた。

M&Aのアドバイザリー業務は「グローバルにもっと展開していきたい。トランプ政権によって米国が良くなる可能性があることを考えると、米国のM&Aはもっと踏み込んだ投資を考えてもいいかなと思う」とし、人材増強などの可能性を示した。

投資銀行業務のM&Aのリーグテーブルでは、大和が上位に食い込むことはなくなった。同社としても戦略を転換し、ターゲットの案件の規模を、大型ではなく中型に移行している。

中田氏も、そこで「独自色を出せればいいと思っている。その戦略は変えない」と語った。また、「顧客基盤は圧倒的トップではないのは事実。ただ、一定規模の基盤を有しているのも事実」とも述べ、そこを「守りながら1つ1つシェアを上げていく。戦略としては地道だが、今の大和に合った戦略」とした。

他社との資本提携などの可能性については、具体的なものは現時点ではないとしたうえで、大和がこれまでも、ロンドンでのM&Aアドバイザリー会社の買収や米M&A会社(セージェント)との資本・業務提携を行ってきたことを踏まえれば、「今後もそういう戦略は選択肢の1つに入っている」と述べた。

アジアでは、現在シンガポールで展開するウェルスマネジメントビジネスが「非常に順調」という。これを、他の地域に広げる可能性や、クレジットやREITなど「新規のビジネスも積極的に展開していきたい」と語った。

中田氏は、大和が2010年に三井住友フィナンシャルグループ<8316.T>とのホールセール業務での合弁を解消した際、中核で業務の再建にあたった。

中田氏は、独立系証券会社の存在価値について問われ、「企業も、直接金融、間接金融はシームレスでつながっていると利便性は高いが、事業戦略上は利益相反がままあるケースもある」と指摘。企業の成長とともに、その会社が戦略を独自に判断できることの重要性は高いと強調し、「独立系証券の存在はますます高まっている」と述べた。

(江本恵美)