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焦点:国境調整税で消費者にしわ寄せも、製油業者への打撃通じ

2017年1月31日

[ヒューストン/ニューヨーク 27日 ロイター] - トランプ米大統領が打ち出すさまざまな保護主義的通商政策について、石油業界関係者が全体的な影響の把握に乗り出し始めている。

各政策の中で特に話が進んでいるのは、議会共和党がまとめた包括的な税制改正案の中に含まれる、輸入品に最大20%の課税を行う「国境調整」税かもしれない。課税対象には外国産原油も入っており、特に東海岸と西海岸の製油所のコスト増大をもたらす恐れがある。ひいてはドライバーや旅客機利用者にもしわ寄せが及ぶことになるだろう。

精製会社テソロ<TSO.N>のエグゼクティブ・バイスプレジデント、シンシア・ワーナー氏は、今月ヒューストンで開かれ会合でこの問題について「実際に痛みを感じるのは消費者だ」と指摘した。テソロはカリフォルニア州とノースダコタ州にそれぞれ2カ所、ユタとアラスカ、ワシントンの各州に1カ所ずつ精製施設を保有している。

国境調整税は、米国内の原油生産者には競争面で有利な立場を与えるのは間違いない。シェール産業の業況回復も後押ししそうだ。

ゴールドマン・サックスは、米国の石油開発・生産セクターにとっては国内原油価格上昇と増産により総額で200億ドル相当のプラス効果があると試算した。

トランプ氏は「国境税」を提案しており、議会共和党の国境調整税に対する態度はこれまで二転三転している。ただプリーバス大統領首席補佐官は26日、メキシコ国境の壁建設費用を同国にどう負担させるかを巡る問題で、トランプ氏が国境調整税支持に近づいているとの見解を示唆したように見えた。

プリーバス氏は、トランプ氏は国境調整税に賛成かと質問されると、壁の費用を支払ってもらう上で「1つの方法」になると答えた。

原油価格が1バレル=53ドル、米国への原油輸入が日量790万バレルと想定した場合、製油セクターが国境調整税で負担するコストは年間で300億ドルを超えかねない。

輸入コストの増大で、シェブロン<CVX.N>やPBFエナジー<PBF.N>といった外国産原油に依存する業者の利益率は圧迫されるだろう。

エネルギー・コンサルタントのフィリップ・バールガー氏は先月、製油セクターがこうしたコストを穴埋めするためには、ガソリン小売価格を13%、ガロン当たりで0.30ドル引き上げる必要が出てくるとの見積もりを示した。軽油は11%、ガロン当たり0.27ドル上昇するだろうという。

バークレイズ・キャピタルが今月公表した予想では、これは米国の平均的な消費のガソリン代金を年間300─400ドル押し上げてしまう。

製油セクターは全体として国境調整税に反対しているが、とりわけ東海岸と西海岸の業者は懸念が大きい。

海岸沿いにある製油施設はより多くの外国産原油を輸入しているが、内陸部の業者に比べてより幅広い種類の原油を購入できるため、競争面で優位に立てることが多い。ところが国境調整税は、そうした利点を帳消しにしてしまう。

モーニングスターの石油・製品調査ディレクター、サンディ・フィールデン氏は「原油を輸入し、あまり多く輸出していない業者はほとんどが東海岸と西海岸の製油施設で、彼らの立場は悪化する。原材料コストは跳ね上がり、利益率が侵食される」と説明した。

2016年の政府統計によると、外国産原油を最も多く輸入しているのはシェブロンで、同社はカリフォルニア州に2カ所の精製施設を持つ。1─10月期のカナダ産を除く外国産原油の輸入量は約2億1300万バレルだった。これに次ぐのはバレロ・エナジー<VLO.N>の1億9400万バレル、フィリップ66<PSX.N>の1億3000万バレル。

フィリップス66は、国境調整税などの影響を分析中だと表明。シェブロンとバレロ、PBFエナジーはいずれもコメント要請に対して回答していない。

ただし同じ海岸沿いでもメキシコ湾岸の製油施設は、米国産原油の入手が容易なことなどから最も逆風をしのぎやすいとみられている。

(Liz Hampton、Catherine Ngai記者)

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