「関係のない罰」を与えてはいけない

「罰(パニッシュメント)」というしつけの仕方と、「因果(コンシクエンス)」と呼ばれる方法があります。この違い、わかりますか?私も整理するのに少し時間がかかりました。

「罰」とは、権力を行使して、相手をはずかしめたり苦痛を与えたりすること。悪い行動と直接関連していない場合が多い(「妹を叩いたらデザートを取り上げる」など)。根底にある考え方は、「子どもは、従ったときだけ尊重すべきであり、罰を恐れることでしか行動を改善させられない」というもの。

「因果」は、子どもの自制心の育成やルールの理解に重きを置き、子どもを尊重した方法です。

因果によって与えるしつけは、悪い行動に直接関連しています(「デザートのスプーンを妹に投げたら、デザートを取り上げる」など)。根底にあるのは、「子どもは反省と訓練により成長する」という信念。

 次の例は、(1)が「罰」で、(2)が「因果」です。

(1)「おもちゃを投げちゃだめ。見てごらん、こんなになって!部屋に行って反省しなさい。ママがいいと言うまで出てこないで」

(2)「おもちゃを投げると、壊れちゃうわよ。おもちゃを投げるなら、そのおもちゃで遊んではいけません。そのおもちゃは15分さわらないで」

「罰」はしつけとしての効果が薄いことが、さまざまな研究からわかっています。以下がその理由です。

●恥をかいた人は、個人的な責任を取らない傾向が強まる。

●恥は怒りを呼びやすい。

●悪い行動に直接関連していない罰は、子どもの道徳観の発育にあまり効果がない。