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日本を元気にする新・経営学教室

低炭素社会は公共財、その特質を踏まえて
「グリーン・イノベーション」促進の方策を考える
京都大学大学院経営管理研究部教授 成生達彦

内田和成 [早稲田大学大学院商学研究科教授],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],髙木晴夫
【第8回】 2011年3月28日
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 「グリーン・イノベーション」が大流行で、「低炭素社会」という言葉が入った講演会は盛況である。大きなビジネスチャンスとして、産業界の関心も高いようである。今回はグリーン・イノベーションを促進する際のいくつかの課題について検討する。

技術の採否を決めるのは経済

 我が国には環境・エネルギー分野の優れた技術があり、それらを開発する能力も非常に高い。とはいえ、開発された技術は利用されなければ意味がない。そして、技術の採否を決めるのは、市場であり、企業である。

 なぜ、中国の農業で機械化が進まないのか? 農業機械は貿易できるから、中国での価格は米国と大差はないが、中国では賃金が安いために、労働集約的な方法の方がコストが安い。だから、機械が採用されないのである。このように、優れた技術でも、経済状況によっては採択されないことがある。

ロードマップの必要性

 我が国の2008年におけるCO2排出量は約11.4億トンで、その内訳は発電などのエネルギー部門が4.1億トン、運輸が2.3億トン、民生が1.6億トン、産業が3.4億トンとなっている。政府は、2030年までに、30%強削減して、7.4億トンにしようと考えているようである。

 低炭素社会への移行は、ビジネスのやり方を変える可能性があると同時に、ビジネスチャンスでもある。しかしながら多くの企業は、低炭素社会の構築を目指した明確な行動計画を、描き切れないでいる。その理由の1つは、低炭素社会を実現するために、国や地方公共団体がどのように取り組むのかが明確になっておらず、全体像が見えていないことにある。

 低炭素社会という大きな目標を掲げるのは政治の役割であるが、それを達成するための道筋を示すのも、また政府の仕事である。その際には、技術開発のロードマップのみではなく、どのような条件の下で、いつ、その技術が採用されるのかを示す必要がある。

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内田和成(うちだ かずなり) [早稲田大学大学院商学研究科教授]

東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から04年12月まで日本代表。09年12月までシニア・アドバイザーを務める。BCG時代はハイテク・情報通信業界、自動車業界幅広い業界で、全社戦略、マーケティング戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。06年4月、早稲田大学院商学研究科教授(現職)。07年4月より早稲田大学ビジネススクール教授。『論点思考』(東洋経済新報社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『スパークする思考』(角川書店)、『仮説思考』(東洋経済新報社)など著書多数。ブログ:「内田和成のビジネスマインド

 

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。


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好評だった経営学教室の新シリーズ。新たな筆者お二人を迎えて、スタートする。国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入している。日本企業に漂う閉塞感を突破するには、何がキーとなるのか。著名ビジネススクールの気鋭の教授陣が、リレー形式で問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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