[東京 31日 ロイター] - 日銀は30─31日に開いた金融政策決定会合で、巨額の国債買い入れを通じて金利で足元をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%とする現行の金融政策の据え置きを決めた。経済成長率の見通しを上方修正した一方で、物価見通しは据え置いた。記者会見で黒田東彦総裁は米トランプ新政権の保護主義に懸念を示した。

国債買い入れの回数で政策の方向を示すことはないとし、買い入れが減少しても引き締めでないとの見解をあらためて示した。

<17年度は原油価格が物価押し上げ>

今会合では日銀が9人いる審議委員の中央値の形で年4回公表している「展望リポート(経済・物価情勢の展望)」の見通しで、2017年度の経済成長率予想を前回11月時点の1.3%から1.5%に、18年度を0.9%から1.1%にそれぞれ引き上げた。一方、消費者物価指数(CPI)の見通しは17年度1.5%、18年度1.7%にそれぞれ据え置いた。

11月以降のトランプ相場で1割程度も円安が進んだが、黒田総裁は「一般的に成長率が上振れたり円安になれば先行きの物価上昇を高めるが、物価の実績値は弱めに推移していることを反映している」と説明した。

物価見通しの作成では、15年初めから注記してきた原油価格の前提や物価への影響に関する記述がなくなった。14年の原油価格急落以後、物価が2%に達するシナリオを示す上で先物市場を参考にした原油価格見通しを開示してきたが、原油価格が安定してきたため不要と判断した。

足元の原油価格は前年比2倍の高水準となっており、今後は原油価格が物価を押し上げ、「17年度に小幅のプラス要因」(幹部)という。

<米経済動向、下振れリスクのひとつ>

会見で黒田総裁は、米トランプ政権の政策運営に関して「減税やインフラ投資などマクロ政策面では成長を押し上げるが、保護主義的な政策は世界経済の成長を減速させる懸念がある」と指摘。「米政策の方向性や影響を注視する」と強調し、米経済動向は「下振れリスクのひとつ」と述べた。

<買い入れ回数で政策スタンス示さない>

日銀は今月、債券市場の多くが予想していた中短期債の国債買い入れオペを1度見送っており、1月の1カ月間の国債買い入れ総額は12月よりも減少している。このため市場では、日銀が今後も国債買い入れを減らすなど引き締め方向に舵を切るとの観測が広がっている。 総裁は「(オペの)タイミングや回数は、需給動向などで実務的に決定する。日々のオペで先行きの政策スタンスを示すことはない」と否定した。

(竹本能文 編集:山川薫)