懸念される内定取り消し
「整理解雇の四要件」を確認しておこう

 先週、都合によりお休みをいただいた石渡です。別のテーマを掲載予定でほぼ取材が終了。あとは細かい確認というところだったのですが、気が付けば時間切れに。本当にご迷惑をおかけしました。

 さて今回のテーマも前回に引き続いて震災関連です。まず内定取り消しについて。

 震災によって、事業継続が困難な企業も出てきています。時事通信3月26日記事にはこうあります。

宮城労働局職業安定部には水産加工業や製造業からの相談が27件寄せられた。うち半数が「採用を延期したい」という内容で、対象者は計約200人に上る

 朝日新聞3月26日付記事でも「朝日新聞社が東北地方の被災地を中心に約60大学を調べたところ、少なくとも8大学で10人が内定を取り消された」とのこと。

 今後、内定取り消し者数はさらに増える見込みです。

 さて、この内定取り消し、就職難が取り上げられるたびに話題となります。

 どのタイミングで内定が出たかにもよりますが、基本的に内定が出ると労働者に準じる扱いになります。労働者は労働法で守られており、もし解雇するには「整理解雇の四要件」を満たす必要があります。

1.人員整理の必要性  
2.解雇回避努力義務の履行
3.被解雇者選定の合理性
4.手続の妥当性

 1は内定取り消しをしなければならない理由です。事業継続が無理なほど被害を受けた、などは理由になるでしょう。

 2は内定取り消しを回避するための努力を企業側がしたかどうか、ということです。役員報酬を減らしたとか、経費削減をすれば採用できるのに内定取り消しをすると、この2に引っかかり、無効になる可能性が高くなります。

 3は内定取り消しの対象者を選ぶのが妥当だったかどうかです。単に好き嫌いでは理由になりません。

 4は内定取り消し対象者にきちんと説明したかどうかです。

 内定取り消し問題では、大日本印刷事件が目安となっているようです。1968年7月、大日本印刷の入社試験をTさんという学生が受けました。7月13日には内定通知書を受け取り、同封の誓約書を提出、就活を終了します。ところが、翌年1969年2月12日に内定取り消しの通知を受け取りました。