株価はどこまで上昇するか?

では、日本株についてはどうか? 繰り返しになるが、日本が完全にデフレから脱却し、2%のインフレを安定的に実現するまでは、ドル円相場と日本株市場の連動性が高い状況は続く。このため、2017年の日本株は円安の進み具合いに依存するというのが、まず大きな前提としてある。

さらに、米国経済の復調と中国経済の安定もあって、2016年央から企業業績は回復基調に転じている。ここに1ドル120円台の円安が加われば、2017年度の企業利益は2ケタ以上の増益に上振れるだろう。

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株式市場ではそれを織り込む格好で株高が続くため、早晩、日経平均株価は2万円の大台に乗せることになる。2015年のピークだった1ドル125円まで円安が進めば、株価も同様に当時のピークである2万1000円前後をつけると考えるのが自然だ。

もっと言えば、FRBの利上げが3回となり、1ドル130円台をつければ、2万1000円を大きく超える上振れ余地が出てきても不思議ではないし、この状況が一定のあいだ続けば、日経平均株価はやがて2万5000円以上、バブル期以来の高値水準を目指し上昇するだろう。

村上尚己(むらかみ・なおき)
アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト。1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(中央経済社)がある。