2月1日、米国務長官に承認されたレックス・ティラーソン氏(写真)は、極端に厳しい外交環境の下で就任せざるを得なくなった。ワシントンで撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 1日 ロイター] - 米国務長官に承認されたレックス・ティラーソン氏は、極端に厳しい外交環境の下で就任せざるを得なくなった。

 シリアの内戦、北朝鮮の核問題、中国の台頭、傍若無人なロシアなど、ただでさえ世界が混沌とする中、トランプ大統領が就任早々イスラム諸国や欧州諸国、メキシコを敵に回したからだ。

 米上院本会議は1日、ティラーソン前エクソン・モービル会長の国務長官就任を承認した。正式な就任日はまだ決まっていない。

 外交政策専門家の見方では、トランプ大統領は就任後の12日間で「自傷行為」を犯してしまった。

 ある米高官は「我が国は数々のオウンゴールを入れてしまった。新政権には混乱や摩擦がつきものだが、今回はいつもより悪い」と話す。

 トランプ氏は、メキシコの負担で国境に壁を建設すると主張し続け、同国のペニャニエト大統領は1月26日、トランプ氏との会談を中止するという異例の手段に出た。

 トランプ氏は続いて、イスラム圏7ヵ国の市民・難民の米国入国を制限する大統領令に署名。対象国だけでなく、他のイスラム諸国、ドイツや英国などの同盟国、さらには米国務省の官僚からも反発が巻き起こった。

失地回復からスタート

 関係筋によると、国務省では職員約900人が入国制限を非難するメモに署名。スパイサー大統領報道官は30日、「大統領令に従えない官僚は辞めてよい」と述べた。

 ティラーソン氏がまだ就任もしていない段階で、同氏がうまくやっていく必要のある2陣営、つまり諸外国と米国の外交官らが気分を害してしまった格好だ。

 ジョージ・W・ブッシュ元政権下で国務省の法律顧問を務めたジョン・ベリンガー氏は「彼はハンディを負って就任する。諸外国および国務省職員との間で信頼感を築くべく、失地を回復する必要に迫られるだろう」と言う。

 別の元国務省高官は「ホワイトハウスと省の職員が共に不満を抱え、疑心を募らせる中にティラーソン氏は踏み込んで行くことになる。(世界情勢が)混沌としており、既に十分困難な環境だったのに」と案じた。

 複数の現職、元職の米高官は、大統領令の署名に至るプロセスに当惑している。議会や同盟国はおろか、政権全体で根回しした痕跡が見受けられないからだ。

 ケリー国土安全保障相にとって、入国制限令は寝耳に水に近かったとされる。ニューヨーク・タイムズ紙によると、トランプ大統領が署名した時、ケリー氏はホワイトハウスの電話会議に出席中で、この件について初めてきちんとした説明を受けた。

 国防総省元高官のローレン・デジョング・シュルマン氏は、今のホワイトハウスがこうした問題を閣僚らに相談していないのは公然の秘密だとした上で、「国務長官が権限と影響力を持ち得るのは、大統領の考えを代弁しているという前提があってこそだ」と指摘。「初日に情報を知るのが外国の人々だという事実は、ティラーソン氏の力を決定的に弱める」と述べた。

(Arshad Mohammed記者 Lesley Wroughton記者)