経営×ソーシャル
ソーシャルのいま
【第9回】 2017年2月7日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

ソーシャルメディアの「新領域」で成功している企業はここが違う

マスメディアからデジタルメディアへ、企業のマーケティング予算の配分が大きく変化している。中でもソーシャルメディア・マーケティングへのシフトが増加傾向にある。なぜ企業はソーシャルメディア・マーケティングに取り組み、試行錯誤を続けているのか。マスメディアとソーシャルメディアの決定的な違いや特徴を整理しながら、先行企業が今注目しているソーシャルメディアの新領域に迫る。

マスメディア VS ソーシャルメディア
世界がネットワークに求めているものとは?

世界の市場はソーシャルメディアに何を求めているのか。その答えは「新領域」にある

 マス広告の効果低減が叫ばれて久しいなか、マーケティング予算の配分が大きく変化しています。アメリカでは、2013年にインターネット広告収入がマスメディアの広告収入を超えて以降、その差は年々広がっています。日本でも昨年、上場企業各社のマーケティング予算配分において、デジタルメディアの占める割合が最も高いという調査結果が発表されました(*1)。そして、デジタルメディアの中でも、ソーシャルメディア・マーケティングの占める領域が増加傾向にあります。では、一体、世界の市場はソーシャルメディアに何を求めているのでしょうか。

 ソーシャルメディアは、人々が「双方向」につながり合うことで生まれるメディアの総称です。今までのメディアとの違いは、端的に、この「双方向」であるということに尽きます。つまり、今まで企業から消費者に向けて放射状に伝達することに最適化されてきた「一方向」のメディアに対して、ソーシャルメディアは、消費者同士をネットワーク状に横でつなげる「双方向」のメディアなのです。

 世界中の企業がこの新しく誕生したメディアを自社の武器にしようと試行錯誤し、マーケティング活用の糸口を探ってきました。各社が経験から学んだことは、消費者同士がつながる「双方向」メディアでは、今までの「一方向」で放射状のメディアで有効だった“消費者に伝達する”という作法は受け入れられないということと、逆に、企業そのものが「双方向」のネットワークの参加者となり、消費者とつながり合うことができれば、“消費者の味方になる”ことも“消費者を味方にする”こともできる、という気付きでした。

特徴に合わせて「使い分け」が必要
マネジメントが難しいソーシャルメディア

 さて、ソーシャルメディアと一口に言っても、それぞれに個性があり、また、そこでのつながり方にも特徴があります。比較的オフィシャルなつながりを持つFacebook、140文字のつぶやきを流しながらつながり合うtwitter、メールよりもリアルタイムにつながるLINE、写真を中心にネットワークをつなぐInstagramといったものです。企業もネットワークに参加する際、それぞれのソーシャルメディアの特徴に合わせて振る舞わなければなりません。

*1 日経BPコンサルティング「デジタル・アナログ領域のマーケティング施策実態調査」より



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


ソーシャルのいま

ソーシャルメディア・マーケティングの第一人者である筆者が『ソーシャルメディア進化論』を出版してから早4年。ソーシャルメディアを取り巻く状況は大きく変化した。一体何が変わり、何が変わっていないのか。当時の状況を振り返りつつ、現在の状況について考察を深めていく。

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