[ロンドン 2日 ロイター] - トランプ米政権は、ドル高をけん制する発言を繰り返す一方で、ドル高と合致する経済政策を標ぼうしている。相矛盾する姿勢に翻弄され、ドル相場は今後、乱高下しやすくなりそうだ。

トランプ大統領と米国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は今週、ドイツ、日本、中国の3カ国について、通貨安を通じて米国の輸出競争力を損ねていると批判。安倍晋三首相とメルケル独首相はこれに反論した。

トランプ氏は選挙期間中から、米国の製造業に活気と雇用を取り戻すことを政策の中心に掲げてきたため、こうした姿勢は驚くに足らない。ドル安はこの政策を達成するために役立つだろう。

しかしトランプ氏は同時に、減税や財政支出の拡大、米企業による海外利益の本国還流を通じて米国の経済成長を押し上げる意向も示している。これらは金利の上昇およびドル高と相性が良い。

投資家から見れば、相場のボラティリティ(変動率)は上昇しそうだ。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロー、ジョゼフ・ギャニョン氏は「政権が口先介入でドルを押し下げる一方、ドル高を招く政策を進めるなら、ボラティリティはともかく、不確実性は増す」と指摘。「矛盾、あるいは支離滅裂と呼んでいいだろう。ちょっとした混乱を招くだけに終わりそうだ」と話した。

<ジェットコースター>

米政権の口先介入は功を奏しているようだ。主要通貨に対するドル指数は米大統領選以降の最安値である99.35を付け、ユーロは約2カ月ぶりに1ユーロ=1.08ドルを上回った。

スタンダード・バンク(ロンドン)のG10ストラテジー責任者、スティーブ・バロー氏は「こうした(政権幹部の)発言によってドルは値が飛ぶかもしれないが、口先介入だけで数週間、数か月にわたって下げ続けることはない」とし、ドルは「ジェットコースター」相場に入ると予想する。

バロー氏は、スイス国立銀行(中央銀行)が2年前にユーロに対するスイスフランの上限撤廃に追い込まれ、フランが暴騰した例を挙げ、「政策当局者の発言だけで為替相場が動くのなら、われわれは皆、ここ数年でスイスフランを売って一文無しになっていただろう」と話した。

(Jamie McGeever記者)