[フランクフルト 6日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は6日、為替操作との米国の批判を退けるとともに、米国で検討されている金融規制緩和の動きに警鐘を鳴らした。欧州議会の公聴会で述べた。

トランプ米政権で国家通商会議トップを務めるナバロ氏は先週、ドイツは著しく過小評価されたユーロを利用して米国に対し優位な立場に立っているとし、ドイツは事実上、為替操作国だと批判した。

ドラギ総裁は「われわれは為替操作者ではない」と言明。「われわれの金融政策は、ユーロ圏、および米国のそれぞれ異なる景気局面を反映している」とし、経済の脆弱さがユーロ安の主因との考えを示した。

その上で「単一市場は継続的な通貨切り下げ競争で生き残れない」とした。

ドイツは米国に対し多額の貿易黒字を抱えている。だがドイツは自国で金融政策運営を行っておらず、これまでにも繰り返しECBの金融緩和政策はドイツにとり緩和的過ぎるとして、大規模な刺激策を解除するようドラギ総裁に求めている。

トランプ米大統領が緩和を視野に金融規制改革法(ドッド・フランク法)の見直しを指示したことについては、緩い金融規制が約10年前の世界的な金融危機を招いた主因だったとし、規制緩和は危険であり、緩やかながらも安定した成長をこれまで支えてきた安定性を脅かす恐れがあるとの考えを示した。

総裁は「現時点で最も不要なことは、規制の緩和だ」とし、危機前の状態に戻すとの考えは「非常に懸念すべきものだ」と述べた。

またユーロ圏の成長はなお弱く、リスクに直面しており、足元のインフレ加速も一時的との認識を表明。こうした状況を踏まえると、ユーロ圏は依然として金融支援が必要な状況とし、近く政策引き締めに着手することはないとの立場を示した。

「ECBは個別の指標、およびインフレの短期的な上昇に反応してはならないとの金融政策戦略を掲げている」とし、「このため、欧州連合(EU)基準消費者物価指数(HICP)の変化が、物価安定に向けた中期見通しに持続的な影響を及ぼさないと判断すれば、今後も重要視しない」と述べた。

その上で「基調のインフレ圧力はなお抑制されており、この先も緩やかにしか持ち直さない見通し」とし、「基調インフレが勢いを欠くのは、総じて域内のコスト圧力が弱いことを示唆している」と述べた。