AIの台頭や一層のグローバル化、就活の地殻変動などの影響で到来する「仕事が消滅する時代」。そんな時代に必要とされるのが、「雇われる力」(エンプロイアビリティ)だ。本連載では、藤原和博氏の最新刊『10年後、君に仕事はあるのか?』の内容をもとに、「高校生に語りかける形式」で2020年代の近未来の姿と、未来を生き抜くための「雇われる力」を身に付ける方法をお伝えする。今回はその第1回。 

世界中がスマホでつながる日

 いきなりですが、今後10年の間に社会に一番影響を与える変化は何だと思いますか?

 どんなことが、君の人生にとって一番影響が大きいでしょうか?

 日本だけのことを考えれば、少子化とか高齢化と言うかもしれませんね。また、高校生の立場で考えれば、それは自分が25~28歳になっていること……もう結婚してるかもしれないしね。

 でも、世界的な視野ではどうでしょう?

一番大きな変化は、世界の50億人がスマホでつながることだと言われています。だから、映像で人類がつながってしまう。言葉の壁を超えて交流できる日も近い。

 そして、そのネットワークに人工知能(AI)がつながること。つまり、私たちの生活のあちこちでネットとつながったロボットがいろんな働きをするようになる。

 ロボットと言っても、「ASIMO」や「Pepper」のような人型をしているとは限りません。いまだって、「ルンバ」のようなお掃除ロボットが活躍しているでしょう。

 もう少しすると、冷蔵庫も「冷蔵クン」というロボットになって、コンビニで買ったものを入れるたびにバーコードで賞味期限を判断したり、足りなくなると自動的に発注するようになるでしょう。車はすでに「移動クン」という名のロボットで、縦列駐車を自動的にやってくれる機能を搭載しているし、高速道路での車線変更も渋滞時のノロノロ運転も自動でできる。ロボットに乗り込むというとガンダムを思い浮かべるかもしれませんが、車はもうそうなっている。

 さらに、スマホだって10年以内にほぼすべての知識がネット上に蓄積されるから、のび太くんにとってのドラえもんのような、超のつくほど優秀なパートナーになっているでしょう。スマホはもう「通信クン」という名のロボットと一緒です。